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家賃安い地方移住者 リタイア後大都市に住み続ける意味問う

 厚生労働省の調査によれば、2012年の日本人の「平均寿命」は男性が80歳、女性が86歳。平成に入っても、平均寿命は10年間で2歳ほどのペースで延びている。「人生100年」が普通になる時代ももうすぐそこだと考えるべきなのだ。

 もちろん、人間、長生きできるに越したことはないかもしれないが、最近では「長生きリスク」という言葉が頻繁に口にされるようになった。つまり、「体はもっても、カネがもたない」という厳しい現実が顕在化してきたのである。

 だが、リタイア後の人生、ちょっと工夫するだけで金はなくとも幸せに暮らせる。実践者はそう断言する。現在、東海地方で一人暮らしをする67歳の評論家・呉智英氏はこう語る。

「15年前まで、東京都内の賃貸マンションで暮らしていました。その時の家賃は月16万円。現在住んでいる愛知県内のマンションは同じ広さで、家賃は半額以下の7万9000円です。

 東京や大阪といった大都会は何をするにも便利ですが、住居費を含め物価が高く、現役時代なら賄えていたものがリタイア後はそうもいかなくなります。そこで考えたいのが、そこに住み続ける合理的な理由があるかどうか。

 リタイア後を考える上で重要なのは、生活に対する精神的、意識的な改革です。住む場所や生活水準で、見栄を張ってもしょうがない。考えを改めれば、お金がなくても幸せは見いだせるはずです」

 今後、「老後資金の不足」に多くの人が頭を悩ませることになる。だからといって「投資などの資産運用だけで資金を稼ぐ」というのは、まったく現実的ではない。フィデリティ退職・投資教育研究所所長の野尻哲史氏が解説する。

「投資をするには情報を収集する能力や体力、冷静に市況を見極める判断力などが必要です。歳をとれば、そうした力が弱くなり、運用失敗のリスクも高まります。リタイア後しばらくは続けられるでしょうが、どこかで区切りを付けなくてはなりません。

 体力、精神面などを考えると、75歳までに投資から卒業することを目指したい」

※週刊ポスト2014年2月28日号

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