国内

人脈は仕事をして残るもの 作ってから仕事するものではない

『あいつの気持ちがわかるまで』を上梓した石黒謙吾さん

古今東西の賢人による名言やことわざなどから良好な人間関係を作るためのヒントを解説した書『あいつの気持ちがわかるまで』(宝島社)を上梓した著述家の石黒謙吾さん。

 同書の中には「仕事は仲間を作る」というゲーテの言葉を受けて、「人脈は、仕事して残るもの。作ってから仕事するものじゃない」と昨今の「人脈自慢」「人脈命」的な風潮に異議を唱える記述もある。石黒さんはいかにしてこの考えを抱くようになったのか。石黒さんが解説する。

 * * *
 かつて一緒に仕事をしていた人が有名人好きだったんです。「誰と会った」という話ばかりしている人。彼は色々なところで酒を飲んだり、パーティに出ては、名前のある人と知り合ってくる。そのあと、電話で色々な人に「今度是非なんか仕事しましょうよ!」というようにやっていました。でも、いまいち、この人には後に「残る」仕事が成立しないんですね。無邪気で性格はいいのですが、仕事人として見るとどうにも頼りない。

 彼は、明らかに人脈を先に作って、それを基に、「この人で特集をやりましょう!」「コラムをやりましょう!」と編集部に風呂敷を広げるけど、結局その企画は成立しない。企画ありきでなく人が先行しているからなんですがたぶん気付いていない。

 僕は20年前からは書籍を書いたりプロデュース&編集していますが、人とのお付き合いは、ひたすら地を這うようなことの連続。まずは仕事ご一緒したい人にアポを取り、愚直なまでに誠実に連絡をし、共に腹を割って本を残す。その過程で少しずつ信頼して頂く――これを積み重ねているだけです。

 こうして地道に仕事をしていると、人脈を広げるためのアクションは取るつもりもなかったし、そんな時間があったら、作る時間に回したいと思う。不器用だとわかってるけど、そもそも、人生の中で、好きなものを少しでも多く残したいですから。

 僕は企画など仕事全般と<人>に対しては能動的だと思いますが、<人脈づくり>に対しては受け身であり、自然に任せています。前述の彼は夜になるとパーティに出て、「誰と仲良くなった」ということをベースに仕事をしようとしている。その当時、これは、なんか違うな、と感じていました。

関連キーワード

関連記事

トピックス

グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
民放ドラマ初主演の俳優・磯村勇斗
《ムッチ先輩から1年》磯村勇斗が32歳の今「民放ドラマ初主演」の理由 “特撮ヒーロー出身のイケメン俳優”から脱却も
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン