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厳格父 娘と茶髪ピアス男の結婚を涙を流し認めた偶然の理由

 夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回は寄せられたのは、ご主人(34歳)が広告代理店勤務の奥様(37歳)。ご主人とは職場結婚でした。

 * * *
 私は一人娘で、両親は「しっかりした男性にお婿さんに来てもらいたい」と望んでいました。でも、30過ぎてから付き合い始めた彼は同じ会社の後輩で、私より3歳年下。しかも、職場は髪型などもけっこう自由なので茶髪だし、若い頃にあけたピアスの穴もあります。私の父は厳格ですから絶対にアウトですよね。それでも、どうしても彼と結婚したかったので、ダメもとで両親に引き合わせました。

 彼が緊張しながら自分の名を告げると「ん?」。苦虫を噛み潰したような父の表情が一変しました。

「もう一度、名前をいってくれ」
「S太郎です」
「君は、娘より3歳年下といったね?」
「そうです」
「許す!」

 そういった父の瞳からは涙が。私はまだ3歳だったので記憶にないんですが、母が妊娠、男の子を熱望した父は名前も考えてたのに流産。その名前が偶然にもS太郎だったそうです。「30年経って帰って来たよ」。母の手を取り、号泣する父……。

 あれから3年。マイペースで出世も遅い主人に、「なんで帰って来たのかなぁ」。酔っ払っては愚痴をこぼしている父です。

※週刊ポスト2014年3月14日号

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