ライフ

作家・下重暁子「死ぬときはひとり。慣れるために夫婦別寝室」

 清水アキラが卒婚(=結婚という形を持続しながら、夫と妻がそれぞれの役割を卒業し、自由に自分の人生を楽しむライフスタイル)を宣言し、加山雄三も卒婚を告白した。子育てが終わった夫婦のなかには、卒婚をうらやましいと思う人も多いだろう。現在、卒婚に近い状態で、夫と良き関係を築いているのが作家・下重暁子さん(77才)だ。

 1959年にNHKに入局し、アナウンサーとして活躍後、民放キャスターを経て、作家に転身した下重暁子さん(77才)は、年間複数の著書を発表し、喜寿を迎えても現役バリバリ。精力的に働く下重さんだが、数年前に、結婚してからずっと一緒だった夫との寝室を別にした。

「夫を亡くした友人から、“お茶を飲む時、ついコップを2人分出してしまう”と聞いた話が切なくて。どうせ死ぬ時はひとりなので、ひとりの時間に慣れようと思いました。また、相手がいなくなった時どう暮らすか、自分はどう死を迎えたいかなどもふまえた心の準備もし、暮らしの面でも自立する必要を感じたのです。ただ、お互い70代なので、もしもの時に助けを呼べるように、ドアは開けて寝ています」

 結婚式はせず、お知らせのみ。テレビマンとキャスターのふたりは結婚後も顔を合わせる時間が少なく、夫が料理をすることも世間から注目された。

「彼が料理する姿を見て、生活の大切さに気づき、結婚した部分もあります。型にハマった夫婦というものに興味がなかった。夫が海外赴任になり、自分も国内外を飛び回る日々。お互い干渉しない主義ですし、会えば会話も弾むので、かえって新鮮でした。

 自分たちが暮らしやすければ別居だってよかったんです。でも、夫のカイロ駐在に同行した半年間や、夫の闘病中は夫婦の時間を増やしました。特に病気を患った時は、一緒に過ごした時間が短かった分、このまま夫が逝ったら後悔すると強く思いました」

 暮らし方はその時の状況に合わせてふたりで選択すればよいのであって、他の夫婦と比べたり世間体を気にしたりする必要はないときっぱり。

「べったりしすぎない関係だから、相手の長所も冷静に見つけやすいです。よいところは上手に褒めることが大切。家族といえども他人なので、期待は自分にするもので夫にするものではなく、期待するから不満が募るのです」

 人や物にときめく気持ちも夫婦関係のスパイスになる。

「夫は行きつけの美容院の小学生の女の子と交換日記をしているし、私にもお気に入りの子が(笑い)。お互い全部話しますよ。適度な刺激になるから、会話が弾み、楽しいですよ」

 ひとりの時間も楽しめる余裕、それが夫婦の絆を強くしているのだろう。

※女性セブン2014年3月27日号

関連記事

トピックス

伊藤沙莉は商店街でも顔を知られた人物だったという(写真/AFP=時事)
【芸歴20年で掴んだ朝ドラ主演】伊藤沙莉、不遇のバイト時代に都内商店街で見せていた“苦悩の表情”と、そこで覚えた“大人の味”
週刊ポスト
総理といえど有力な対立候補が立てば大きく票を減らしそうな状況(時事通信フォト)
【闇パーティー疑惑に説明ゼロ】岸田文雄・首相、選挙地盤は強固でも“有力対立候補が立てば大きく票を減らしそう”な状況
週刊ポスト
新アルバム発売の倖田來未 “進化した歌声”と“脱がないセクシー”で魅せる新しい自分
新アルバム発売の倖田來未 “進化した歌声”と“脱がないセクシー”で魅せる新しい自分
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
伊藤
【『虎に翼』が好発進】伊藤沙莉“父が蒸発して一家離散”からの逆転 演技レッスン未経験での“初めての現場”で遺憾なく才能を発揮
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン