三木谷氏は産業競争力会議で薬のネット販売全面解禁を強く主張し、厚労省と対立して一時は辞任を匂わせながら、医薬品の規制緩和に大きな風穴をあけた。
安倍首相も「新経連シフト」を強めているように見える。今年1月20日の新経連の新年会で安倍首相は挨拶に立ち、「物議は醸したが、団体の勢いが増した気がする」とエールを送った。
着々と成果を上げる新経連に対する経団連の焦りは、次期会長選びに表われた。
今年6月に退任する米倉氏は、「後任会長は現役の副会長から選ぶ」という慣例を破って榊原定征・東レ会長(元経団連副会長)を指名するという異例の人事を行なった。その背景を経済評論家の奥村宏氏が指摘する。
「榊原氏は安倍首相に近く、三木谷氏と同じく官邸の産業競争力会議のメンバーにも選ばれている。新経連の発言力を押さえ込むためには、親安倍の財界人をトップに据える必要があったのでしょう」
※週刊ポスト2014年3月21日号