【4】大学はもともと就職予備校的要素を持っていた
最近は就職対策、キャリア教育の比重が上がっていること、就職活動が早期化・長期化していることから「就職予備校化」という批判があります。たしかに、これは由々しき自体ではあります。
ただ、もともと私学などは建学の理念をみると、社会で活躍する人材を養成するというビジョンを掲げているのですよね。そして、有名私大に就職課ができたのは、実は戦前です。
学校基本調査を見ても、最近は卒業しても就職も進学もしない「新卒無業者」が問題になっていますが、とはいえ、現在も卒業生の6割強は就職しています。大学を出た人の進路で就職はマジョリティなのです。
【5】素晴らしい無名大学は存在する
無名大学の中にも、面白い教育プログラムがあり、国公立大学を退官した教授、民間企業からきた教授がいて、充実している大学は多数あります。むしろ、ブランドだけの大学よりも、教育力が高いのではという評判さえあります。
行く価値のある無名大学は存在するのです。
【6】中退は、いまそこにある問題
「学生証だけもらって中退するのが一番だ」と言いますが、これはあまりに無神経な発言と言わざるを得ません。いま、大学が直面しているのは、中退者の問題です。経済的に厳しくなり続けられない学生、能力的についていけずに悩む学生が多数いることを堀江さんはご存知でしょうか。大学生活を続けられない人に対する配慮を欠いていると言わざるを得ません。
【7】大学の価値は教育力だけではない
例えば、日大出身者は「大学を出てから、日大の良さがますますわかった」と言います。なんせ、人数が多いですから。職場、取引先にOB・OGがいて、何かと安心するものです。スポーツなどで母校が活躍しているとモチベーションも上がりますし。
海外の大学においても、実は大学に行く意味というのはこういうネットワークづくりだったりします。
あと、堀江氏が指摘するように、ブランド力というのも率直にありますよ。◯◯大学卒という看板ですね。これは別に、東大以外はダメというわけではないです。地方の私大も、地元ではちゃんとブランド力はあります。レベルだけではなく、ラベルが大事なのです。
もちろん、日本の大学に問題があることはよくわかっています。大学の非常勤講師として、また、2年間大学院生をやった立場として、よくわかります。そう、2年間大学院に行った理由の一つは、大学を内部から観察したかったからなのです。
もろもろ問題があるのはわかりますが、とはいえ、大学に行くことは意味がありますよということです。皆さんはどう思います?