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Excel方眼紙めぐる論争 弊害あるのにやめられない理由とは

 新しい職場で働き始めてしばらくは、どんなキャリアの人でも慣れない環境に苦労するものだ。そのなかで職場の上司や先輩、前任者から引き継がれたExcel文書に悪戦苦闘させられている人も少なくないだろう。その代表例が、すべてのセルを小さな正方形に整え方眼紙に見立てて罫線を引き、複雑に組み合わされたセル結合がいくつもある通称「Excel方眼紙」によって作られた文書ファイルだ。

 いまの会社で働き始めて6年目の直子さんは、春の配置換えで移動した先で使用する社内での申請や確認文書をデータで引き継いだとき、Excel方眼紙によって作成されたファイルが引き継ぎに向いていないと思い知らされた。組織変更によって項目がいくつか変わったため、新たな仕組みに合わせようとファイルに変更を試みたが簡単にはいかなかったのだ。

「Excel方眼紙で作られた文書はセル結合に見た目以上の意味がないから、ファイルを見ても変え方が分からず新たに文書を作るよりも手間がかかります。以前の部署の上司もExcelで文書を作成するのが好きな人でしたが、印刷したものしか受け取ったことがなかったのでExcel方眼紙がこんなにやっかいだとは気づきませんでした」(直子さん)

 結局、直子さんは問題の文書類の多くをExcelの新規ファイルとして作成しなおしたそうだ。方眼紙になるほど細かくセルを設定しなかったが、結合やセンタリングをいくつも施している。きっと次に引き継ぐとき困るのだろうなと思いながら、もとの文書に近いものを作成できる他の方法が分からなかったからだ。

 表計算ソフトであるはずのExcelは、直子さんの会社だけでなく日本じゅうのいたるところで文書作成のために多用されている。特に自治体ではExcelで作成されたファイルが申請書類ひな形や公表データとして多用されている。紙へ出力することしか想定されておらず、データの再利用性が低いがExcelの特定機能をフル活用しているこれらを、神を超える「ネ申」というネットスラングを交えて「ネ申Excel」と揶揄されてもいる。

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