ビジネス

Excel方眼紙めぐる論争 弊害あるのにやめられない理由とは

 新しい職場で働き始めてしばらくは、どんなキャリアの人でも慣れない環境に苦労するものだ。そのなかで職場の上司や先輩、前任者から引き継がれたExcel文書に悪戦苦闘させられている人も少なくないだろう。その代表例が、すべてのセルを小さな正方形に整え方眼紙に見立てて罫線を引き、複雑に組み合わされたセル結合がいくつもある通称「Excel方眼紙」によって作られた文書ファイルだ。

 いまの会社で働き始めて6年目の直子さんは、春の配置換えで移動した先で使用する社内での申請や確認文書をデータで引き継いだとき、Excel方眼紙によって作成されたファイルが引き継ぎに向いていないと思い知らされた。組織変更によって項目がいくつか変わったため、新たな仕組みに合わせようとファイルに変更を試みたが簡単にはいかなかったのだ。

「Excel方眼紙で作られた文書はセル結合に見た目以上の意味がないから、ファイルを見ても変え方が分からず新たに文書を作るよりも手間がかかります。以前の部署の上司もExcelで文書を作成するのが好きな人でしたが、印刷したものしか受け取ったことがなかったのでExcel方眼紙がこんなにやっかいだとは気づきませんでした」(直子さん)

 結局、直子さんは問題の文書類の多くをExcelの新規ファイルとして作成しなおしたそうだ。方眼紙になるほど細かくセルを設定しなかったが、結合やセンタリングをいくつも施している。きっと次に引き継ぐとき困るのだろうなと思いながら、もとの文書に近いものを作成できる他の方法が分からなかったからだ。

 表計算ソフトであるはずのExcelは、直子さんの会社だけでなく日本じゅうのいたるところで文書作成のために多用されている。特に自治体ではExcelで作成されたファイルが申請書類ひな形や公表データとして多用されている。紙へ出力することしか想定されておらず、データの再利用性が低いがExcelの特定機能をフル活用しているこれらを、神を超える「ネ申」というネットスラングを交えて「ネ申Excel」と揶揄されてもいる。

関連記事

トピックス

東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
渡邊渚さんが綴る「PTSDになった後に気づいたワーク・ライフ・バランスの大切さ」「トップの人間が価値観を他者に押しつけないで…」
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
ルーヴル美術館での世紀の強奪事件は瞬く間に世界を駆け巡った(Facebook、HPより)
《顔を隠した窃盗団4人組》ルーブル美術館から総額155億円を盗んだ“緊迫の4分間”と路上に転がっていた“1354個のダイヤ輝く王冠”、地元紙は「アルセーヌ・ルパンに触発されたのだろう」
NEWSポストセブン
活動休止状態が続いている米倉涼子
《自己肯定感が低いタイプ》米倉涼子、周囲が案じていた“イメージと異なる素顔”…「自分を追い込みすぎてしまう」
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン
“ムッシュ”こと坂井宏行さんにインタビュー(時事通信フォト)
《僕が店を辞めたいわけじゃない》『料理の鉄人』フレンチの坂井宏行が明かした人気レストラン「ラ・ロシェル南青山」の閉店理由、12月末に26年の歴史に幕
NEWSポストセブン
森下千里衆院議員(共同通信社)
《四つん這いで腰を反らす女豹ポーズに定評》元グラドル・森下千里氏「政治家になりたいなんて聞いたことがない」実親も驚いた大胆転身エピソード【初の政務三役就任】
NEWSポストセブン
ナイフで切りつけられて亡くなったウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(Instagramより)
《19年ぶりに“死刑復活”の兆し》「突然ナイフを取り出し、背後から喉元を複数回刺した」米・戦火から逃れたウクライナ女性(23)刺殺事件、トランプ大統領が極刑求める
NEWSポストセブン
『酒のツマミになる話』に出演する大悟(時事通信フォト)
『酒のツマミになる話』が急遽差し替え、千鳥・大悟の“ハロウィンコスプレ”にフジ幹部が「局の事情を鑑みて…」《放送直前に混乱》
NEWSポストセブン
『週刊文春』によって密会が報じられた、バレーボール男子日本代表・高橋藍と人気セクシー女優・河北彩伽(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
「近いところから話が漏れたんじゃ…」バレー男子・高橋藍「本命交際」報道で本人が気にする“ほかの女性”との密会写真
NEWSポストセブン