ビジネス

女性のスピード出世 メディア取材で企業イメージ向上思惑も

 女性役員の登用ラッシュが始まっている。新年度人事で、野村信託銀行の新社長に真保智絵氏(48)が就任。みずほ銀行では有馬充美氏(51)、三井住友銀行でも工藤禎子氏(49)が、それぞれ女性初の執行役員に就任した。

 女性登用ラッシュが続いているのは、“均等法第一世代”が役員適齢期を迎えているからだけではない。「女性のスピード出世」はメディアに大きく取り上げられるため、対外イメージをアップさせたい企業側の思惑も見逃せない。

 近頃では女性管理職を増やすという数値目標ゆえに、実績以上に出世してしまった女性も少なくない。

「正直、同じ能力なら、男性社員よりも女性社員を登用しようというのが会社の方針です。時には実績も実力も劣るけど、数値目標達成のために女性に“ゲタを履かせる”こともせざるをえない」(電機メーカーの人事関係者)

 通信会社勤務のA氏(42)が肩を落とす。

「育児休業の間はもちろん、復帰した後も、子供が熱を出したり抜けられない行事があったりで、休むことが多い同期の女性社員。彼女の穴を埋めるために大変な思いもしてきたけれど、『同期の仲間だから』と我慢してきた。ところが一足先に課長に出世したのは彼女のほう。オレのほうが仕事をしてきたはずなのに……。出世レースで彼女に遅れを取るとは思っていなかっただけに、ショックです」

 女性登用という神輿に乗せられる側の女性たちも心中は複雑だ。

「昇進を告げられた時は、嬉しいというより『私のほうが先に偉くなっちゃっていいの?』という戸惑いでした。育児休業をとってからは、出世は無理だと諦めていたので。昇進後はこれまで何かとフォローしてくれていた同期の男性社員の態度が急に冷たくなった。仕事も休みづらくなったし、会社での居心地も最悪。昇進しないほうがよかったかも」(大手広告代理店・38)

 さらに、若手女性社員の間には警戒感さえ漂う。大手薬品会社の女性社員(25)はこんな本音を漏らす。

「正直、出世したいという気持ちはなくて、結婚しても仕事を続けられたらいいな、という程度。女性がいないからといって、無理やり出世させられても困る。建て前として産休や育休といった環境整備が進められていますが、結局、会社が管理職の女性に求めるのは男性と同じ長時間労働です」

 女性登用を巡る企業のダブルスタンダードに女性社員も思い悩んでいるのだ。

※週刊ポスト2014年4月18日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン