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中国電子商取引業者の金融商品 高利で人気も銀行業界猛反発

 中国では最近、電子商取引最大手、阿里巴巴集団(アリババ・グループ)の創業者、馬雲会長が編み出した金融商品である「余額宝」が人気だが、「吸血鬼」との有り難くない異名もとるなど、批判も高まっている。

 余額宝は昨年6月にスタートし、年利は5%程度と、規制で0.35%程度に抑えられている普通預金金利よりも利率がよく、3月中旬時点で利用者は8100万人にも達している。

 アリババの利用者は通信販売の決済用口座から余額宝のサイトに資金を移すだけで運用でき、しかも投資は1元からでもできるのが手軽で、さらに、いつでも引き出せるという便利さも受けて爆発的にヒットしている。

 預け入れ額は1月末の2500億元から2月末には5000億元と1か月で倍以上に急増するなど、まさに「余ったお金が宝になる」というわけだ。

 アリババは投資家から集めた資金を、機関投資家向けの投資ファンドを介して銀行の大口預金で運用。その利回りは年6%程度。つまり、アリババが年利5%で集めた資金を6%の大口預金で運用しているというわけで、その差額が利益になり、一般の個人投資家も利息収入を稼げるという仕組みだ。

 銀行にしてみれば、個人客に高金利をサービスしている形になり、収益の押し下げ要因になることから、「アリババの行為はまさに吸血鬼そのもの」との批判が銀行業界を中心に高まっている。

 かりに、余額宝の信用不安などで巨額の解約が生じれば、銀行の経営そのものにも影響がでる可能性がある。

 しかも、それらの金はファンドに投資するだけに、元本は保証されず、場合によっては、焦げ付きが生じることも考えられ、いま、中国で問題になっている「影の銀行(シャドーバンキング)」の一種である理財商品とも似通っていることも、批判される理由の一つとなっている。

 だが、いまやアリババだけでなくで、インターネットサービス大手の「騰訊(テンセント)」や「百度(バイドゥ)」なども参入しており、銀行業界にとっては死活問題になっている。中央銀行である中国人民銀行は規制を強める方針で、中国銀行業協会もアリババなどの大口預金の受け入れ中止を検討するなど、予断を許さない状況だ。
 
 投資家からは「銀行は政府による規制に守られ、個人は儲からない仕組みになっている」との諦めに近い悲鳴も聞こえてきている。

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