国際情報

中国腐敗撲滅運動強化の余波 高い人気誇る公務員受験者激減

 中国では大学卒業生の就職難が続き、生活や身元が安定している公務員の人気が高いはずだが、今年の中国の地方省市の公務員試験受験者が減少傾向を示すという珍現象が起きている。この背景には、習近平国家主席が提唱する、党幹部に対する厳しい腐敗撲滅運動や節約令があるようだ。

 湖北省の新聞「長江日報」によると、同省では4月12日に公務員試験が行なわれたが、その受験者数が8万3146人と、昨年の約9万3000人に比べると、1万人も減少した。

 この傾向は湖北省にとどまらず、中国の1級行政区である23の省自治区・直轄市のうち、16の行政区で軒並み受験者が減ってしまったのだ。

 中国ではこの20年来、大学が雨後の竹の子のように急増していることから、大学卒業生の3割くらいしか就職できない状況が続いており、公務員志望者は非常に多い傾向が続いていただけに、奇妙な現象と言わざるを得ない。

 これについて、北京の中国共産党幹部によると、公務員は仕事が楽で、朝出勤すれば、ほとんど仕事はなく、まずはお茶を飲んで、新聞を読んで時間をつぶす。そのあと、昼ご飯を食べて、また、新聞を読み、3時ごろにはおやつの時間。夕方5時には仕事は終わりという。

 業者からの付け届けや接待もあり、「これ以上の天国はないほどだ」と語っているが、そのような状況一変したのは、一昨年11月に習近平政権が発足してからだ。

 習氏は厳しい腐敗撲滅キャンペーンを展開し、「虎だろうが、蝿だろうが、不正をすれば、共に叩く」と公言して、実際に1年間に5万人以上の幹部が規律違反で処分されている。省長や大臣クラスの幹部も11人が摘発され、刑務所行きとなった。

 また、節約キャンペーンも始まり、業者との飲み食いなどの接待が激減し、賄賂も少なくなり、懐具合が寂しくなったことから、「公務員受験者が激減するのも無理はない」とこの幹部はため息をつく。

 ある北京市民は「入ったばかりの末端の公務員ほど上役の顔色をうかがわなければならず、人間関係も難しく、ストレスが多いのも、実は公務員の実態だけに、習近平の厳しい政策のせいで、公務員のうま味がまったくなくなってしまい、不人気業種に陥落してしまったのだ」と語っている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン