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脳梗塞で歩行困難の77歳女性 噛む訓練で片道1kmの登山成功

 口の中の衛生状態を改善し、噛む機能を回復すると、寝たきり老人が歩き出す──こんな耳を疑ってしまうような事例は、歯科医の間では「当たり前」になりつつある。

 噛んで飲み込む機能の重要性をレポートした『噛み合わせが人生を変える』(日本顎咬合学会著)のエッセンスに最新臨床例を加え、「奇跡の歯科医療」の最新事情を報告する。

 77歳の女性Aさんは脳梗塞の後遺症でほとんど歩けず、引きこもりの生活が続いていた。身の回りのことができず、夫に支えられておぼつかない足取りで診察室に入ってきた。その顔は能面のように無表情で、河原英雄氏(歯科河原英雄医院院長)が挨拶しても無反応だったという。

 噛めず、食べられず、話せず、飲み込めずのAさんに義歯を作り、医療用のガムで噛む力を回復させるべく「ガムトレーニング」を行なった。

 すると、わずか3週間で、普通の食事を噛んで食べられるようになった。夫の献身的な協力もあり、なんと半年後には夫婦で片道約1kmの山登りを途中で休むことなく続けられるほどになったという。

 噛める機能の回復がもたらす目覚ましいリハビリ効果は、なぜ起こるのか。最近の研究でそのメカニズムが次第に明らかになっている。歯学博士で日本顎咬合学会理事長の渡辺隆史・小滝歯科医院院長が解説する。

「噛むと脳の血液量が増えることが多くの実験で確かめられています。ガムを噛むことで脳の血流が増え、働きが活発になり、記憶力や認知機能にいい影響を与えたのだと考えられます」

※週刊ポスト2014年4月25日号

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