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団塊世代が監督で大成せぬ理由 藤田平と谷沢健一による分析

 団塊世代の球界OBには錚々たる面子が名を連ねる。山本浩二氏、田淵幸一氏、星野仙一氏、鈴木啓示氏、堀内恒夫氏、山田久志氏、有藤道世氏、福本豊氏、江夏豊氏……など何人でも名前が挙がる。団塊は野球の名選手を輩出したが、監督として大成した人物は少なく、江本孟紀氏なども含め、「指導者より解説者向き」といわれる。

 それに対して、阪神タイガース生え抜きの打者では唯一の名球会メンバー(2064本安打)で、同球団の監督時代は厳しい指導ぶりで「鬼平監督」と呼ばれた藤田平氏(1947年生まれ)の言い分はこうだ。

「僕らの世代は選手時代に頑張ってきた人たちばっかりやから、自信に裏付けられた信念がある。若い選手たちも自分がやってきたようにやればできると考えている。あまり練習しない選手がいたら、せっかく両親から立派な体をもらい、素晴らしい素質があるのに、もったいないと思うことがたくさんあった。だから強引でも自分の思うように選手を指導せんと気が済まんのですわ。

 選手の中にはスパルタに反発する者もいたけど、従ってくれる者は多かった。しかし、上が辛抱できへんかった。戦前生まれで企業のトップになっている球団オーナーは、スポーツ経験がないからなんぼいうても僕らがやろうとしていることが理解できない。こっちにすれば、指導を頑張りすぎて嫌われるんだからたまらんわな」

 中日ドラゴンズのスラッガーで元西武打撃コーチの谷沢健一氏(1947年生まれ)はこういう。

「野球に限らず、時代の足りない点を自分自身で補うことしかできなかった世代。同期はアクの強さから誤解されている人も多いけど、真剣に取り組んだ人が生き残ったんじゃないかな。個々の能力は高いし気力体力も充実している。

 ただし、現役時代に脚光を浴びた者も人生設計の描き方が苦手だった。指導者となっても組織の中でむやみに頭を下げることを潔しとしなかったり、言葉足らずで誤解を生んだり、正直さが仇となって裏切られたり、直情型の失敗が多いのが特徴かもしれない。話術にたけてメディアで成功している者も“毒舌家”というキャラを要求されがちだけどね(苦笑)」

※週刊ポスト2014年4月25日号

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