国内

島根県議会が慰安婦意見書をスピード採択し地元自民県議憤慨

 大メディアはほとんど報じないが、全国の地方議会で続々と「慰安婦問題で政府の誠実な対応を求める意見書」が採択されている。そんな中でとりわけ驚かされたのが昨年6月の島根県議会での意見書採択だった。

 竹島問題を抱える島根県議会は2005年に「竹島の日(2月22日)」を制定するなど、韓国の嘘に厳しい態度を表明してきた。しかも県議会は定数37のうち自民党が22人を占める保守王国である。にもかかわらず共産党に近い団体の意見書が採択された。

 経緯としては、まず共産党と密接な関係にある「新日本婦人の会」島根県本部(山崎泰子会長)が他団体と連名で意見書採択の請願を行なった。

 団体側と面識のあった民主党系の白石恵子県議が議会側の窓口となり、複数の議員との面会をセット。その後、白石氏らを紹介議員とする「日本軍『慰安婦』問題への誠実な対応を求める意見書」が総務委員会に付されたのが昨年6月19日。自民党県議を委員長とする総務委員会はその日のうちに「挙手多数」で可決し、議案は同26日の本会議へ上程された。

 最終的に自民党から共産党まで19人が提出者となった意見書は本会議で採決され、五百川純寿議長の「起立多数」の声であっさりと可決。委員会から本会議までわずか1週間の早業だった。自民党県議で唯一、座ったまま反対した小沢秀多県議はこう憤る。

「結局、自民党の県議は古い体質の人間ばかりで、地元のことはわかっていても意見書採択による国際的な影響までは考えられないのです。慰安婦問題についての見識も持ち合わせていません」

 元自民党で現在は無所属の成相安信県議(意見書採択では退席)も「県議会自民党は竹下利権を継いだ青木幹雄(元参院議員)の影響下にあり、その番頭格が五百川議長。票集めには敏感でも意見書が持つ意味は考えたこともないのでしょう」と批判する。五百川氏は再三の取材要請にも応じず、白石氏からは「委員会での提案理由がすべて」と電話で説明があった。

 それにしても島根県自民党の意識の低さには驚きを禁じ得ない。自民党島根県連は「県議会での採択は報道で知った」(事務局)程度で、意見書に関する県全体の司令塔はいない。当時の県連幹事長だった福田正明県議は、「あの頃は参院選の渦中にあり、地元紙で委員会決議を知って提案文書を出先にファックスしてもらい、文言修正を指示した」というが、本会議での採択は五百川議長ペースで進んだ。

「意見書は松江市議会にも出されましたが、自民党系多数で否決しました。国の問題として捉えれば当たり前。五百川系市議に県議たちは何を考えていたのかを質すと、『人権問題だから』と言っていました」(宅野賢治・松江市議)

※SAPIO2014年5月号

関連キーワード

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン