ライフ

運動会リレー 最も足が遅い女子がアンカーに――その結果とは

 涙にはストレス解消の効果があるといわれるが、泣ける“ツボ”は人それぞれ。今回は、47才の教師が小学4年生の担任をしていた時の運動会でのエピソードを告白してくれました。

 * * *
 小学校の教師をしています。あれは、私が小学4年生の担任をしていた時のこと。運動会の女子リレー選手をくじ引きで決めることに。すると、クラスでいちばん足の遅い久美ちゃんが補欠に選ばれたんです。文句を言う生徒もいましたが、補欠なので、出番がない可能性もあります。それに、学年でいちばん足の速い優子ちゃんがメンバーに入っていたので、何とかなるだろうと、その時は誰もが思っていたのです。

 ところが、運動会当日。優子ちゃんが、リレーの前の競技でまさかのねんざ。補欠の久美ちゃんにアンカーがまわって来たのです。気の弱い久美ちゃんの顔は緊張で蒼白になっていました。それでも「お願いできる?」と言う私に、「やります」と、久美ちゃんは言い切ったのです。

 そして、リレーが始まりました。ウチのクラスは、何とか1位を守りきり、久美ちゃんにバトンが渡りました。しかし久美ちゃんはすぐに追い抜かれてしまいました。そのまま、ずるずると3位から4位になり…。ビリで終わるのだろうと、クラスの全員があきらめかけた時、優子ちゃんの「久美ちゃん、まだいけるよ! がんばれ!!」というひときわ大きな声援が響いたんです。

 その声に影響されてか他のクラスメートも大きな声援を送るようになり、久美ちゃんにも気合が入ったように見えました。そして、土壇場の追い越しで、なんと結果は2位。1位を取ったクラス以上に大歓声があがったのはいうまでもありません。

 走り終えた久美ちゃんが、抜かれたことをみんなに謝ると、優子ちゃんが「久美ちゃんのおかげで2位が取れたんだよ! ありがとう」と一言。クラスのみんなからもほめられ、ようやく久美ちゃんに笑顔が戻りました。

 久美ちゃんの覚悟と優子ちゃんの思いやりに、忘れられない運動会になりました。

※女性セブン2014年5月1日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン