ビジネス

すき家 アルバイト不足解消せずとも「合理主義」は揺るがず

牛丼チェーン「すき家」 深夜のワンオペが人手不足に拍車?

 アルバイト店員の深刻な人手不足に陥っている牛丼チェーン大手の「すき家」。かねてより深夜帯に接客から調理まで一人で勤務させる「ワンオペレーション(ワンオペ)」が問題視されてきたが、ここにきて「究極の効率運営」のツケが一気に回ってきた形だ。

 人員不足に拍車をかけたのは、2月に投入した「牛鍋」だった。

 度重なる牛丼の低価格競争で疲弊した各社の“切り札”として、吉野家もメニューに追加して人気を博す牛鍋。しかし、調理に手間がかかることで少人数勤務を強いられているすき家のアルバイト店員の不満が噴出。大量に店員が辞めたことで2月から4月にかけて120店以上が休業し、今も28店で再開のメドが立っていないという。

 すき家の親会社であるゼンショーホールディングス(HD)が5月14日に発表した2014年3月期決算では、休業店舗が業績に与えた影響が売上高で5億円、営業利益で2億円もあったことが明かされた。外食ジャーナリストの中村芳平氏がいう。

「居酒屋チェーンのワタミも人手不足により労働環境の改善を迫られていることを見ても分かる通り、安い労働力を確保しながらやみくもに店舗数を増やして売上高を上乗せしていくビジネスモデルは完全に崩壊しています。

 ただでさえ生産年齢人口が年々減少していく中、いまや何千という単位の店を一律に動かしていくチェーンオペレーションが通用しない時代なのです」

 ゼンショーHDの小川賢太郎社長は厳しい雇用環境に対応するため、すき家の運営を全国7地域に分社化し、各300店ずつがアルバイトの採用や販売促進などに権限を持つ体制に改めるとしている。

 いちばんの解決策は少人数オペレーションを緩和させ、アルバイトの待遇を良くしていく以外にないのだが、「基本的にすき家の合理主義は揺るがない」と見る向きもある。

「そもそもワンオペをしていた店も、本社が決めた厳しい売り上げノルマを達成できないから。小川社長は始めに戦略ありきで、採算が乗らなければ人や店舗を切っても仕方ないという考えの持ち主。

 そういう意味では、今後も売り上げや商品価格を維持できる範囲内で人件費をどこまで上げられるかが経営の肝であることに変わりない。場合によっては店舗の統廃合も決断するはず」(全国紙記者)

 確かに、かつて『日経ビジネス』(2010年9月20日号)の取材でワンオペについて聞かれた小川氏は、<売り上げに対応する科学的なシフト、労働投入を組み立てている>と語っている。

関連記事

トピックス

長男・泰介君の誕生日祝い
妻と子供3人を失った警察官・大間圭介さん「『純烈』さんに憧れて…」始めたギター弾き語り「後悔のないように生きたい」考え始めた家族の三回忌【能登半島地震から2年】
NEWSポストセブン
古谷敏氏(左)と藤岡弘、氏による二大ヒーロー夢の初対談
【二大ヒーロー夢の初対談】60周年ウルトラマン&55周年仮面ライダー、古谷敏と藤岡弘、が明かす秘話 「それぞれの生みの親が僕たちへ語りかけてくれた言葉が、ここまで導いてくれた」
週刊ポスト
小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン