投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、5月19日~5月23日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は、20~21日の日本銀行金融政策決定会合で現状の金融政策の維持が予想されることで、25日のウクライナ大統領選挙への警戒感から、リスク回避の円買いで上げ渋る展開が予想される。しかしながら、6月から本格化することが予想される年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外貨建て資産への投資増額期待から下値は限定的か。
【日本銀行金融政策決定会合】(20~21日)
日本銀行の追加緩和は、5月30日に発表される4月の消費増税の影響を受けた日本の4月のインフレ率や6月に予定されている安倍政権の新成長戦略を確認した後の、6月12-13日から7月14-15日の日本銀行金融政策決定会合に決定されると予想されている。2015年10月の消費増税の判断材料が、2014年7-9月期の経済成長率となることで、日本銀行は、6月か7月に追加緩和を打ち出し、7-9月期の国内総生産(GDP)を加速させなければならない。
しかしながら、日経平均株価が2013年4月に異次元の量的・質的金融緩和が導入された時期の水準に向けて失速しつつあることで、5月の日本銀行金融政策決定会合で、異次元の量的・質的金融緩和第2弾「黒田プット」が打ち出されるというポジティブ・サプライズに警戒する展開となる。
【連邦公開市場委員会(FOMC)議事録】(21日)
4月29~30日のFOMC議事録では、イエレンFRB議長が「高水準の金融緩和政策」が当面継続するとした協議内容を見極める展開となる。21日にはイエレンFRB(連邦準備理事会)議長の講演も予定されており、要注目か。
【ウクライナ大統領選挙】(25日)
25日のウクライナ大統領選挙に向けて、ウクライナ東南部は実質的に内戦状態(ラブロフ露外相)に陥っており、ウクライナ暫定政権は、ロシアが宣戦布告無き戦争を仕掛けている、と警戒を強めている。ウクライナ軍と親ロシア武装勢力との対立が激化した場合、プーチン・ロシア大統領が「ロシア語を話す住民を守るための平和維持部隊」としてロシア軍を投入する可能性が高まることで予断を許せない状況が続く。
大統領選挙で親欧米派が勝利した場合、ロシアは6月3日からの天然ガスの供給停止を警告しており、オバマ米政権が「OFAC規制」を発動し、ロシアの国家及び金融機関の資産凍結を強行した場合、ロシアも米国債の売却警告しており予断を許せない状況が続く。
【本邦機関投資家の外貨建て資産投資】
6月からのGPIFによる外貨建て資産への投資増額観測が高まっていることで、本邦機関投資家による新規の外貨建て資産への投資増額が期待されている。
5月19日~23日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。