財務省によると、2014年度(見通し)の租税負担率(対国民所得比)は24.1%で、北欧のデンマーク、スウェーデン、フィンランド、ノルウェーに比べると非常に低いと説明されている。しかし、それに健康保険や失業保険、介護保険などの社会保障負担率17.5%、消費課税8.2%、個人所得課税7.4%などを加えた国民負担率(同)は41.6%に達する。
さらに、国の財政赤字は、赤字国債などで借金としていずれ国民が支払わなければならないおカネだから、これも国民負担となる。それを合わせると、給料の実に52%を国に召し上げられている計算になる。平成時代の日本国民は、江戸時代の「五公五民」、農民が収穫の半分を年貢として納め、残りの半分を自分のものにするという租税徴収の割合よりも過酷な負担を強いられているのだ。
たしかに北欧諸国の国民負担率は60~70%で日本より高いが、その代わり老後はすべて国が面倒を見てくれるし、医療や教育などもタダである。だから貯金をしなくても安心して生活し、余生を過ごすことができる。一方、日本は年金制度を維持していくことすら危ぶまれている有り様だ。
日本人は、この現実を直視すべきである。とりわけ仕事と子育て、親の介護などに奔走している30代~50代の現役世代が、より重い負担を課せられ、少しでも息をつくために奥さんがパートやアルバイトに出ながら年収を103万円以下に抑え、かろうじて配偶者控除を受けて家計を助けているという歪んだ現実は、やはり早急かつ根本的に正さねばならない。
※週刊ポスト2014年6月6日号