ライフ

温熱、電気神経刺激、牽引などの腰痛治療法 有効性に疑問も

 昨年、厚生労働省が発表した全国調査によって約2800万にもの人が苦しんでいると判明した「腰痛」の多くは、原因がはっきりしないこともあり様々な治療方法が広まっている。温熱療法や電気神経刺激療法、兼任療法などは本当に効果があるのか、ジャーナリストの鵜飼克郎氏が報告する。

* * *
 腰痛には医療機関で温熱療法や電気神経刺激療法、牽引療法などを受けることも多い。ところが、研究論文の蓄積をもとにまとめられた日本整形外科学会・日本腰痛学界が発表した最新の『腰痛診療ガイドライン』(2012年11月)では「エビデンスが不足している」などと指摘されている。

 例えば患部を温める温熱療法は、急性の腰痛患者に対しては一部で有効性が見られるものの慢性腰痛に対しては「質の高いエビデンスは存在しない」という。温湿布などについても同じだ。また脊髄を通る神経に微弱な電気を流す電気神経刺激療法は、海外で複数の研究が行なわれたが結論が分かれている。

「腰痛治療を専門とする医療機関でよく見かける牽引器具は、使った患者と使わなかった患者で痛みの緩和や可動域の拡大に有意な差は認められていません。硬い背骨に牽引したぐらいで変化が起きるとは考えにくい。

 マッサージ効果によってその場限りでは楽になる人もいるかもしれませんが、アメリカの治療ガイドラインでは、『牽引は効果がないばかりか、害があるので止めたほうがいい』とまで指摘されているので注意が必要です」(白土修・福島県立医科大学会津医療センター教授)

 腰椎コルセットについても、身体動作は改善されるが痛みの改善に効果があるというエビデンスはない。

※SAPIO2014年6月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
立花孝志容疑者(左)と斎藤元彦・兵庫県知事(写真/共同通信社)
【N党党首・立花孝志容疑者が逮捕】斎藤元彦・兵庫県知事“2馬力選挙”の責任の行方は? PR会社は嫌疑不十分で不起訴 「県議会が追及に動くのは難しい」の見方も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の打ち上げに参加したベッキー
《ザックリ背面ジッパーつきドレス着用》ベッキー、大河ドラマの打ち上げに際立つ服装で参加して関係者と話し込む「充実した日々」
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン