5月に発表された決算でテレ東の快進撃が証明された。スポットCM収入は前年比10.4%増で、テレビ東京やBSジャパンなどの持ち株会社テレビ東京HDは設立以来の最高益を記録したのだ。
「独自路線」「ニュースは無視」が売りの同局だが、先日の大ニュース発表の際にもその真価が発揮された。
5月12日にサッカーW杯日本代表メンバー発表で、他局がこぞって生中継するなか、テレ東だけは通常通りアーノルド・シュワルツェネッガー主演の映画『ツインズ』を放送したのだ。
さらに“テレ東らしさ”が出たのは、プロデューサーのツイッターだった。〈サッカーに興味のない方は、我が局テレ東でツインズをぜひ。おもしろいですよ〉──こうした姿勢にネット上では「さすがテレ東」と賞賛の声が相次いだ。
お金をかけない素人いじり路線もますます充実している。
「『YOUは何しに日本へ?』『世界ナゼそこに? 日本人』など、外国人の一般人を巻き込んでの番組もウケている。5月25日に放送された、海外で働く父親の元に、子供たちが内緒で訪れる『世界で働くお父さん ~地球の果てまで行ってきましたSP~』も6.9%の視聴率で、フジテレビを抜きました」(テレ東関係者)
元テレビ東京取締役で『テレビ番外地 東京12チャンネルの奇跡』(新潮新書)の著者である石光勝氏がいう。
「いまのテレ東のスローガンは『まっすぐ、ずっと。』です。この言葉通り、ブレずに番組を作ってきた姿勢が視聴者やスポンサーに認められるようになった。視聴者が横並びの番組に飽き飽きしているなかで、テレ東の独自路線が求められているということです。“テレ東快進撃”と評価され、局員たちも自信を持って新しい企画にどんどんチャレンジしています」
※週刊ポスト2014年6月13日号