国際情報

中国 APEC開催で大気汚染改善に躍起も北京五輪の二の舞の声

 中国の首都・北京では11月にアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が予定されているが、北京市は6月、首脳会議の会場となる北京市懐柔区の町村長や周辺の主要企業の責任者を集め、早急に厳重な環境汚染対策を採るよう厳命した。「北京日報」が報じた。

 中国では2008年8月の北京五輪でも、煤煙などの汚染物質を出す工場を移転させたり、自動車の通行を規制するなどの対策を採ったが、五輪後には以前よりも汚染がひどくなるなど、「一時的で、場当たり的な措置」との批判が出ており、今回も北京五輪と同じことになりそうだ。

 APEC首脳会議は11月に予定されており、場所は北京市郊外の懐柔区の風光明媚な観光地である雁棲湖周辺のリゾート施設で開催されることが決まっている。

 APECには日米など21か国・地域の首脳が一堂に会することになっており、今年の議長国である中国の最高指導者、習近平国家主席にとっては、日ごろから「中国の夢」とか「偉大なる中華民族」を宣揚しているだけに、自らの政治的な能力や指導力を誇示するには格好の大舞台。それだけに、少しのミスも許されないところだ。

 とりわけ、北京を訪れる外国人に不評なのは深刻な大気汚染であり、PM2.5(微小粒子物質)の存在だ。もしアジア太平洋の首脳がPM2.5などで健康を害することがあっては、中国の環境汚染の悪名が改めて世界中に轟くことになる。

 同紙によると、習近平主席が「環境汚染対策を厳命した」ため、北京市の環境問題担当の幹部が懐柔区の町村長や工場や企業の責任者を集め、「バーベキューなどは今後、禁止し、爆竹もダメ。工場は煤煙を出さないように、煤煙防止装置を整備する」などの細かい指示を出したという。

 さらに、中国政府は北京の大気汚染の元凶となっているのは北京に隣接する河北省の工業地帯だとして、主に鉄鋼生産基地である唐山市や石家荘市などの工場にもAPEC首脳会議が行われる11月には操業をいったん停止するよう通告する予定だという。

 ネット上では「北京五輪の二の舞だ。APECが終わった後、これまで以上に大気汚染がひどくなるに違いない」などとの書き込みが目立っている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

水谷豊
《初孫誕生の水谷豊》趣里を支え続ける背景に“前妻との過去”「やってしまったことをつべこべ言うなど…」妻・伊藤蘭との愛貫き約40年
NEWSポストセブン
世界選手権でもロゴは削除中だった
《パワハラ・セクハラ問題》ポーラが新体操日本代表オフィシャルスポンサーの契約を解除、協会新体操部門前トップが悔恨「真摯に受け止めるべきだと感じた」
週刊ポスト
辞職勧告決議が可決された瀬野憲一・市長(写真/共同通信社)
守口市・瀬野憲一市長の“パワハラ人事問題”を市職員が実名告発 補助金疑惑を追及した市役所幹部が突然の異動で「明らかな報復人事」と危機感あらわ
週刊ポスト
新井被告は名誉毀損について無罪を主張。一方、虚偽告訴については公訴事実を全て認めた
《草津町・元町議の女性に有罪判決》「肉体関係を持った」と言われて…草津町長が独占インタビューに語っていた“虚偽の性被害告発”
NEWSポストセブン
当時の事件現場と野津英滉被告(左・時事通信フォト)
【宝塚ボーガン殺人事件】頭蓋骨の中でも比較的柔らかい側頭部を狙い、ボーガンの矢の命中率を調査 初公判で分かった被告のおぞましい計画
週刊ポスト
世界陸上の最終日に臨席された天皇皇后両陛下と愛子さま(時事通信フォト)
《雅子さまの優美な“かさね色目”コーデ》土砂降りのなか披露したライトグリーンの“親子リンクコーデ” 専門家が解説「江戸紫のスカーフとの日本伝統的な色合わせが秀逸」
NEWSポストセブン
田久保真紀市長が目論む「逆転戦略」は通用するのか(時事通信フォト)
《続く大混乱》不信任決議で市議会を解散した伊東市の田久保真紀市長 支援者が明かす逆転戦略「告発した市議などを虚偽告発等罪で逆に訴える」
週刊ポスト
古い自民党長老政治の再生産か(左から岸田文雄氏、林芳正氏、加藤勝信氏/時事通信フォト)
《自民党総裁選》小泉陣営に飛び交う「進次郞内閣」の閣僚・党役員人事リスト 岸田文雄氏が副総理兼外相、林芳正氏は財務相、官房長官は加藤勝信氏が“内閣の骨格”か
週刊ポスト
青ヶ島で生まれ育った佐々木加絵さん(本人提供)
「妊活して子どもをたくさん産みたい…」青ヶ島在住の新婚女性が語る“日本一人口が少ない村”での子育て、結婚、そして移住のリアル
NEWSポストセブン
祭りに参加した真矢と妻の石黒彩
《夫にピッタリ寄り添う元モー娘。の石黒彩》“スマホの顔認証も難しい”脳腫瘍の「LUNA SEA」真矢と「祭り」で見せた夫婦愛、実兄が激白「彩ちゃんからは家族写真が…」
NEWSポストセブン
群馬県前橋市の小川晶市長(42)が部下とラブホテルに訪れていることがわかった(左/共同通信)
《目撃者が明かす一部始終》「後ろめたいことがある人の行動に見えた」前橋・女性市長の“ラブホ通い詰め”目撃談、市議会は「辞職勧告」「続投へのエール」で分断も
NEWSポストセブン
本誌記者の直撃に答える田中甲・市長
【ダミー出馬疑惑】田中甲・市川市長、選挙でライバル女性候補潰しのために“ダミー”の対立女性候補を“レンタル”で擁立した疑惑浮上 当の女性は「頼まれて出馬したのか」に「イエス」と回答
週刊ポスト