パソナは沖縄を除いた8地域すべてのコーディネーターに選ばれ、アソウ・ヒューマニーセンターは地盤の九州と中国地域で選ばれている。
中小企業庁は、「業者の選定は入札ではなく、事業の進め方を提案するプロポーザル方式で行なわれ、全国中小企業団体中央会の外部有識者で構成される審査委員会が企画内容、機関の財政状況、実績について厳正に審査したと承知している」と“公正な選考”を強調する。
確かに、コーディネーター業務は2社独占というわけではない。昨年度は9地域に12社が応募して6社が、今年度は9社応募して7社が選ばれ、キャリアバンクとマイナビの業界大手2社も複数の地域で受注した。
「主婦の潜在労働者の掘り起こしは始まったばかり。コーディネーターを続けていけば、これから巨大な市場になる就職希望の主婦と、人材を求めている中小企業のどちらの情報も蓄積できる。それが事業の拡大につながる」(前出の中堅人材派遣会社経営者)
と、各社が参入をめざすのはわかる。
しかし、同じ人材派遣会社でも、パソナやアソウと他社が受注するのでは意味合いが違う。
パソナの南部靖之社長は安倍首相の後援者として知られ、会長の竹中平蔵・元総務相は安倍政権の産業競争力会議の議員を務めるブレーンでもある。竹中氏は小泉政権時代には、派遣法の規制緩和推進論を唱えて業界の成長に貢献した後、パソナ会長に迎えられた人物だ。
麻生氏のファミリー企業とパソナという安倍政権の政策決定に強い影響力を持つ人物が関わる企業が、首相の看板政策である女性の社会進出のパイロット事業を受注していることには違和感を感じざるを得ない。しかも、パソナとアソウは主婦の就職支援だけではなく、同じ基金で運営されている全国中小企業団体中央会の「新卒者就職応援プロジェクト」や「地域中小企業の非正規人材等確保・定着支援事業」まで次々に受注してきたのだ。
※週刊ポスト2014年7月4日号