国内

性犯罪者の再犯防止策に性衝動を抑える「科学的去勢」の提案

 2004年に発生した奈良小1女児殺害事件で容疑者男性には、過去に性犯罪で逮捕された前科があった。その反省から2006年4月、刑務所や保護観察所で「性犯罪者処遇プログラム」がスタートした。しかし、再発防止には継続してカウンセリングなどを受ける必要があるが、出所後、保護観察所がケアしてくれるのは約2か月間だけだ。

 御徒町榎本クリニックでは性犯罪の出所者などを対象に「社会復帰プログラム」を実施している。「いつ、どこで、どんな時に性犯罪を起こしてしまったか」を徹底して振り返り、対処行動を身につける認知行動療法が実施され、週3回のグループワークと個別面接が行われる。同クリニックの精神保健福祉部次長・斉藤章佳氏はこう話す。

「強姦をしたことのある人なら、『暗がりの人気のない路上を歩かない』『アダルトサイトの閲覧に制限を加える』など、性犯罪を誘発するリスクのある行動を慎むことを学ぶ。孤立が再犯を招く場合もあるため、加害者家族にも協力してもらって社会的に孤立しないよう注意しながらプログラムを進めます」

 榎本クリニックの例はあるものの、社会全体で再発防止のための継続した取り組みはまだあまりに少ない。そのため、出所後に性犯罪を繰り返す加害者は少なくない。

 アメリカには性犯罪者に対し、男性ホルモンを抑制する化学的去勢を行う州がある。テキサス州では1997年、本人の希望により、実際に男性器を除去する外科的手術を行える州法が制定された。東洋大学社会学部教授(犯罪心理学)の桐生正幸氏はこう説明する。

「性犯罪の要因のひとつはテストステロンという男性ホルモンの過度な作用です。人権面から反対する人もいますが、予測される深刻な性犯罪の被害を食い止めるため、日本もアメリカにならい、薬物療法で性的な衝動を抑える『化学的去勢』も視野に入れるべきです」

※女性セブン2014年7月10日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン