返済のメドが立たないことを打ち明けると、「働いて返してもらうしかない」と一方的に話が進められた。田宮さんはそのままの姿で車に乗せられると、すでに2人の男性が同じようにズボンを履いていない状態で乗っていた。喋ることも許されず、監視を付けられ連行されたという。
「どこに向かっているのか見当もつきませんでした。時間の感覚もない中、車から降ろされ、監禁生活が始まった。そこが福岡だとわかったのは1週間ぐらい経った頃です」
連れて行かれた先は、中尾夫妻が経営する「エース」だった。彼はここで2009年1月まで約2年間、タダ働きさせられたという。周囲には同じようにどこからか連れてこられた男女が働いていた。「エース」は田宮さんのような多重債務者を“強制労働”させる場所だったのか。
※週刊ポスト2014年7月25日・8月1日号