「マルクスに言わせれば、社会的存在が社会的意識を形成するんです」
はぁ? よくわからない。どういう意味でしょう?
「つまり、どんな労働や日常生活をしているかが、その人の意識を決めるということです。貧しくてコツコツと働いて暮らしている真面目な人が、大事な話の時に突然プロレス技をかけ大騒ぎしますか?」
たしかに。プロレスとはご存じ、お互いがお互いの出方を了解した演出的な身体遊技。それは子どもでも知っている。
「意見がぶつかりあう真剣なシーンに、お門違いのプロレスを持ち込むのは、演出家や制作側が当時の激しい議論の緊張感やデモ現場を肌身で知らない証拠じゃないの? 学生運動に何となく憧れて、机上で肉体性とか言っているからプロレスが安易に出てきてしまうのですよ」
と、話を聞いた団塊世代の「年配」視聴者はマルクスや学生運動を引き合いにズバッと斬りました。だとすれば? このまま「若者たち2014」が進行していけば、若い視聴者層も団塊層も取りこぼしてしまう危険性が?
最後に森山直太朗の歌う「若者たち」。あの響きは絶妙。温泉に浸かりながら鼻歌を口ずさむお殿様みたいで。そのとぼけた風合いが「今」を感じさせてくれて、じいんと私の耳に残りました。
ただし、五月蠅い団塊世代によると、森山くんの歌声も「かつてザ・ブロードサイド・フォーによる『若者たち』が持っていた社会性がすっかり脱色されてしまったような気がします」。