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高速道路の「路肩走行」 東名の運用実験で渋滞は10分の1に

 夏休みに家族連れで車を使って出かける予定の人も多いだろう。だが、例年の悩みのタネは渋滞。ただでさえイライラするのに、同乗している妻や子供にまでブーブー言われて、ストレスはたまるばかりだ。ここでは、渋滞にまつわる最新科学をひとつ紹介しよう。

 渋滞時に左側を見れば、車1台分が通れる路肩がある。そこをスイスイ走行する不届き者を見かけることもしばしばだが、路肩走行は緊急車両の走行や活動の妨げになるため道路交通法の通行区分違反となり、2点減点と9000円の罰金が科せられる。

 が、路肩は近い将来、走行可能になるかもしれない。国土交通省は6月、渋滞が頻発する一部区間に限って、走行車線として再整備する方針を決めた。その代わり、故障車に備えて数百メートルおきに「非常駐車帯」を設置するという。

「東名高速の一部で路肩を使用した暫定3車線での運用を実施したところ、運用前の2011年4~7月で214回だった渋滞回数が、運用後の2012年4~7月では18回と、10分の1以下に減少した。その実績を踏まえて今後の導入を検討している」(国土交通省道路局高速道路課)

『渋滞学』(新潮選書)の著者で東京大学先端科学技術研究センターの西成活裕教授によれば、これは欧米では「ショルダーユース」と呼ばれ、30年も前から研究・活用されてきた方法だという。

「欧米では、混雑時に『路肩走行可能』というサインが出ます。海外にずいぶん遅れたとはいえ、交通量に応じて車線を増やして交通容量を上げるのは即効性がある対策です。

 ただし、事故が起こると警察側が『それみたことか』と言い出して、元に戻ってしまう可能性もある」(西成教授)

※週刊ポスト2014年8月8日

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