(c)2014「STAND BY ME ドラえもん」製作委員会


「僕も娘がいる父なので。娘はまだ7歳ですが、だんだん女の子らしくなってきて、以前のようにただ子どもっぽいだけではなくなりました。何年先になるかわかりませんが、いつか娘を送り出す父になると思ったら、泣いちゃいましたね」

 同じように50代のHさんは、ドラえもんの親心ともいえるのび太への愛情に、母親としての心情を重ねて涙があふれた。

「ドラえもんが、のび太のダメなところをひとつずつ言いながらポロポロ泣くところ。そこでダメな子ほどかわいいと思う母の気持ちと重なって涙が出ました。以前に同じ話をテレビアニメで見たときは、ドラえもんと別れるのがつらいのび太と同じ気持ちになっていたんですけどね」

 なぜ『STAND BY ME ドラえもん』を観て、これほど大人が涙を流すのか。それは3DCGになったことで、これまでのマンガやアニメ以上に作中のキャラクターを人として身近に感じているからではないかと、泣いた大人たちは口々に言う。

「空き地や街並みなど、40代の自分が子どものころに見た風景が3DCGだととてもリアルに再現されている。だからこそ、大人が感情移入してしまう」(40代・Dさん)
「3DCGだと、アニメなんだけれどアニメじゃないみたい。ストーリーや人間ドラマとしての部分がとても強く感じられて、大人だからこそ泣いてしまう」(30代・Gさん)

 誰もが「泣いた」と口にしながら、観終えた人たちがふんわりと幸せそうな表情を浮かべているのも『STAND BY ME ドラえもん』の特徴だ。ハッピーエンドであることや、エンドロールでドラえもんたちが見せるコメディタッチの愛らしい動きを見て、楽しさに包まれて終わるからだ。大人になると喜怒哀楽を素直に出せなくなりがちだが、頑なになりがちな気持ちをドラえもんが泣いて、楽しんでと開放してくれているらしい。

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