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甲子園出場選手の「難読・希少名字」 姓氏研究家が由来解説

 甲子園は全国の珍しい名前、希少姓を見ることも多い。姓氏研究家・野球史研究家の森岡浩氏の解説でご紹介しよう。(取材・文=フリーライター・神田憲行)

 * * *
 大会3日目に登場した山口代表岩国高校の4番は二十八智大君という。「二十八」と書いて「つちや」と読む。森岡さんによると、
「古語では、十を『つづ』、二十を『はたち』といいました。ここから『つづやはたち(10や20)』という言葉が生まれましたが、やがて二十のことも『つづ』と誤用されることになった。そこから、二十八=つづや=つちやとなったものです」

 二十八選手のお母さんは、

「私たちの家族以外で他に聞いたことはありません。まあ、悪いことはできませんね」

 と笑う。

「でも目立つぶんだけ、頑張ると応援も大きいです。智大の兄も社会人野球の選手なんですが、背番号は28をもらいました。二十八姓は今は少ないですけれど、私が男の子を3人も生んだので、これからぐわんと増えると思います」

 岩国は残念ながら初戦で敗れたが、二十八選手は「進学して野球を続けたい」と、さらなる飛躍を誓った。近い将来、「野球エリート 二十八一族」を見られるかも知れない。

 森岡さんによると二十八と並んで希少なのが、強豪・大阪桐蔭の正随選手。「しょうずい」と読む。

「広島にごくわずかだけある名字です。おそらく親戚のみではないでしょうか」(森岡さん)

 ちなみに正随選手も4番打者。珍しい名字を4番に据えると甲子園に出られるかも!?

 また難読漢字では、

日南学園の椨木(たぶのき)選手 「鹿児島と宮崎の名字。タブノキはクスノキ科の植物です」(森岡さん)

熊本城北の菓(くるみ)選手 「熊本県と福岡県の県境のみにある名字です。『菓』はお菓子ではなく、『木の実』という意味です」(同)

富山商の轡田(くつわだ)選手 「富山と新潟には多い名字です。馬の轡をかたどった轡紋に似た形の田んぼ(丸や菱形に十字)が由来です」(同)

 逆にありふれた名字だが、まとまって来たのが静岡。ベンチ18人のうち、4人が「鈴木」選手だ。「静岡は日本で1番、鈴木姓が多い県なんですよ」(同)

 また佐久長聖にはマッカーシー龍海鳩選手がいる。お父さんがカナダ人で、「りゅうみっく」と読む。実は「龍」はミドルネームで、英語では「ミック・リュー・マッカーシー」の順になるそうだ。

 ちなみに記者個人が取材で混乱したのは山形中央高校。ベンチ18人のうち「高橋」姓が4人、「阿部」姓と「佐藤」姓が2名ずつ。初戦の小松戦では、試合途中で高橋隆生選手と佐藤僚亮選手が交代して、佐藤心晴選手の代打に高橋裕佑選手。しかも高橋稜佑選手と裕佑選手は双子だった。

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