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「カメムシ食え」の済美野球部 いじめエスカレートした理由

 台風11号の影響で、夏の甲子園の開幕が順延された8月9日に、高校野球関係者にショッキングなニュースが報じられた。プロ注目の右腕・安楽智大(あんらく・ともひろ)投手擁する愛媛の強豪・済美高校で「いじめ」があったというのだ。

 いじめの中身は、野球部の複数の1年生部員が2年生部員からカメムシを食べさせられたり、灯油を飲まされそうになったりしたというものであった。中には、1年生同士でケンカをさせられた者もいたという。学校は事実確認ができ次第、県高野連に文書で報告するとしている。済美高校の関係者はこう語る。

「出てしまったか、というのが率直な感想です。上級生が、自分が受けた仕打ちを下級生に行なうという、強豪校の部活にはよくあるパターンです。それに上甲(正典)監督は、“上下関係がなければ組織は成り立たない”というのが口癖でした。だから保護者も、子供は上級生からある程度はやられるかもしれないという思いはあったと思います。

 1年生同士でケンカをさせたのは“いじめやしごきではない”と言い訳できるからでしょう。でも、カメムシや灯油の話は初めて聞きました。さすがにそこまでやっていたのかと驚きました」

 いじめがエスカレートした理由をある現役部員の保護者はこう考えている。

「これまで上級生から下級生への“命令”は寮生活を送る県外出身の生徒に対して行なわれることが多かった。済美では原則、県外出身者は寮に入らなければならず、親の目が届かないんです。だが今年はちょっと事情が違った。1年生の県外出身者がいつもより多く20人以上もいたので、1年生が2、3年生とは別棟の寮に入れられたのです。

 寮で理不尽な扱いを受けた2年生からすると“平和な1年生”に腹が立つ。だからグラウンドでのいじめがエスカレートしたのではないでしょうか」

 県外出身者が増えた理由も、いじめにあったという指摘がある。愛媛県の少年野球チームの関係者はこう語る。

「県下には少年野球チームが20くらいありますが、よからぬ噂が聞こえてくるので、地元の子たちが済美を敬遠するようになっていました」

※週刊ポスト2014年8月29日号

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