ビジネス

賃金増は大嘘 実質賃金は消費増税後の3か月連続で3%超下落

 8月13日、内閣府は4~6月期の実質GDP(国内総生産)成長率マイナス1.7%、年率換算でマイナス6.8%と大幅減を記録したことを発表したが、その直後、日本経済新聞は〈景気、緩やか回復続く〉と書いた。

 これはGDP成長率だけの話ではない。政府発表の各種経済指標やそれに対する大メディアの評価には、様々なごまかしが見えてくる。例えば、賃金について見てみよう。

〈賃金増の波、正社員にも〉と題した記事が日本経済新聞(8月19日付)に掲載された。記事はこう続く。

〈働く人の賃金増に底堅さが出てきた。厚生労働省が18日まとめた6月の毎月勤労統計調査確報値によると、基本給にあたる所定内給与は前年同月比0.2%増の24万2830円となり、2年3か月ぶりに本格的な増加に転じた〉

 意味のない数字である。なぜなら、0.2%の給与のアップ分以上に物価が上昇しているからだ。厚労省の勤労統計調査によれば、実質賃金は前年同月比で12か月連続でマイナスだ。特に増税以降は4月マイナス3.4%、5月マイナス3.8%、6月マイナス3.2%と下落幅が大きくなっている。

 これが、日経が書いたような給料アップの実感を抱いている国民などほとんどいない理由である。ミョウジョウ・アセット・マネジメントCEOの菊池真氏がいう。

「総務省の家計調査(6月分)でも、2人以上世帯の家計の物価上昇分を加味した実質的な収入は前月比マイナス6.6%。収入が6%以上減ったのだから、大半の国民は倹約する。そうして消費が冷え込むばかりでなく、収入減を補填するために貯金を取り崩している家庭も珍しくない」

 この分析は、個人消費の落ち込みとも見事に合致する。政府や日経がいう「給与は増えたが、消費はちょっと減った」という苦しい説明とどちらが納得いくかは冷静に考えればわかることだ。

※週刊ポスト2014年9月5日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
イエローキャブの筆頭格として活躍したかとうれいこ
【生放送中に寝たことも】かとうれいこが語るイエローキャブ時代 忙しすぎて「移動の車で寝ていた」
NEWSポストセブン
伊藤沙莉は商店街でも顔を知られた人物だったという(写真/AFP=時事)
【芸歴20年で掴んだ朝ドラ主演】伊藤沙莉、不遇のバイト時代に都内商店街で見せていた“苦悩の表情”と、そこで覚えた“大人の味”
週刊ポスト
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
伊藤
【『虎に翼』が好発進】伊藤沙莉“父が蒸発して一家離散”からの逆転 演技レッスン未経験での“初めての現場”で遺憾なく才能を発揮
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン