ビジネス

消費税を上げない可能性 考えられる3つの理由を識者が解説

 来年10月に予定されている消費税の再引き上げ問題。安倍晋三政権は年末に判断する方針だが、はたして引き上げるのだろうか。結論を先取りして言えば、私は上げない可能性がかなりあるとみる。理由は3つある。

 まず、景気の動向だ。先に発表された4~6月期の国内総生産(GDP)速報は前期比年率6.8%減という大幅マイナスを記録した。これだけをみれば、4月増税の反動として想定内とも言えるが、中身がかなり悪い。

 鍵を握る民間需要のうち家計最終消費支出が19.2%減、とくに帰属家賃(持ち家への仮想家賃)を除いた正味の支出は22.7%減と崖から転落したような状況だった。住宅や自動車は売れ行きがピタリと止まった。

 東京都心のデパートは相変わらず人出が多く、腕時計など高級品が売れるといった話もある。一方、地方に行くとデパートどころか街中心部の交差点でも人の姿が見えず閑散としていたりする。つまり、控えめに言っても「景気はまだら模様」である。

 増税賛成派のエコノミストは「7~9月期には好転する」と楽観的だが、家計は愚かではない。「好転すれば再増税する」「それならお金は使えない」と考える。皮肉にも楽観見通しが増税予想を強めた結果、かえって財布の紐を締めてしまうのだ。

 次に政権の求心力が高まったこと。8%への増税を決めた昨年10月段階では、安倍政権は発足1年にも満たなかった。首相と菅義偉官房長官は税率引き上げに慎重だったが、増税を悲願とする財務省を敵に回して戦うにはリスクがありすぎた。自民党内も財務省ににらまれたくない議員が大半だった。

 ところが今回は違う。霞が関と党内は掌握している。むしろ再増税の決定が景気に影を落とせば、来年は集団的自衛権をめぐる国会論議と重なって内閣支持率に致命的なダメージを与えかねない。

 そうなると、来年9月の自民党総裁選の行方にも響いてくる。再増税はその1か月後になる。景気とアベノミクスの成果が総裁選の焦点になるのは間違いない。失敗は絶対に許されないのだ。

 3つ目は政権自身が昨年以上に慎重になっていることだ。私は最近、菅官房長官に「発言はオン・ザ・レコード」の条件でインタビューした。一問一答はインターネットの『現代ビジネス』コラムに詳録したが、消費税に関する核心部分は次のようだ。

関連記事

トピックス

イセ食品グループ創業者で元会長の伊勢彦信氏
《小室圭さんに私の裁判弁護を依頼します》眞子さんの“後見人”イセ食品元会長が告白、夫妻のアパートで食事した際に気になった「夫としての資質」
週刊ポスト
ブラジルの元バスケットボール選手が殺人未遂の疑いで逮捕された(SNSより、左は削除済み)
《35秒で61回殴打》ブラジル・元プロバスケ選手がエレベーターで恋人女性を絶え間なく殴り続け、顔面変形の大ケガを負わせる【防犯カメラが捉えた一部始終】
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
《ルフィ事件》「腕を切り落とせ」恐怖の制裁証言も…「藤田は今村のビジネスを全部奪おうとしていた」「小島は組織のナンバー2だった」指示役らの裁判での“攻防戦”
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月12日、撮影/横田紋子)
《麗しのロイヤルブルー》雅子さま、ファッションで示した現地への“敬意” 専門家が絶賛「ロイヤルファミリーとしての矜持を感じた」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ツアーに本格復帰しているものの…(左から小林夢果、川崎春花、阿部未悠/時事通信フォト)
《トリプルボギー不倫》川崎春花、小林夢果、阿部未悠のプロ3人にゴルフの成績で “明暗” 「禊を済ませた川崎が苦戦しているのに…」の声も
週刊ポスト
三原じゅん子氏に浮上した暴力団関係者との交遊疑惑(写真/共同通信社)
《党内からも退陣要求噴出》窮地の石破首相が恐れる閣僚スキャンダル 三原じゅん子・こども政策担当相に暴力団関係者との“交遊疑惑”発覚
週刊ポスト
兄・輝星と仕草も容貌も瓜二つの吉田大輝
金足農業・吉田大輝「甲子園で優勝して、兄・輝星を超えたい」決意 顔も仕草も瓜二つだが、「まるで違う」と父が明かす2人の性格
週刊ポスト
山本アナは2016年にTBSに入局。現在は『報道特集』のメインキャスターを務める(TBSホームページより)
【「報道特集」での発言を直撃取材】TBS山本恵里伽アナが見せた“異変” 記者の間では「神対応の人」と話題
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO(HPより)
「城島さん、松岡さんと協力関係は続けていきたいと思います」福島県庁「TOKIO課」担当者が明かした“現状”と届いたエール
NEWSポストセブン
映画『国宝』で梨園の妻を演じた寺島しのぶ(52)
《無言の再投稿》寺島しのぶ、SNSで2回シェアした「画像」に込められた歌舞伎役者である息子・尾上眞秀への“覚悟”
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《ベビー服は男の子のものでは?》眞子さん、夫・小室圭さんと貫く“極秘育児”  母・佳代さんの「ラブコール」も届かず…帰国が実現しない可能性も
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“半日で1000人以上と関係を持った”美女インフルエンサー(26)がイギリスの公共放送で番組出演「口をすぼめて、吸う」過激ビジュアル
NEWSポストセブン