ゴルフクラブの新製品情報には敏感に反応するが、なぜかボールには無頓着という人がアマチュアには多い。しかしクラブ設計家の松尾好員氏は、「クラブとボールには相性があります。100切りを目指すならボールにこだわるべき」とアドバイスする。
最新のボールには大きく分けて「スピン系」「ディスタンス系」「ウレタン・ディスタンス系」の3タイプがある。その名の通り飛距離を重視するのが「ディスタンス系」だ。硬めの素材で軟らかいコアを厚めにカバーし、それによって反発力を上げ、高初速・低スピンで飛距離が出るようになっている。
それに対し「スピン系」はカバーに柔らかい素材のウレタンを使い、ショートゲームでのスピン性能を高めている。「ウレタン・ディスタンス系」は両者の中間のタイプである。
最近ではプロや上級者は「スピン系」、ビギナーやアベレージゴルファーは「ディスタンス系」を使う傾向がある。飛距離が落ちてきたことに悩むシニアも「ディスタンス系」を使うケースが増えている。「ドライバーでの飛距離はほとんど変わらないが、アイアンでは5~10ヤード伸びる」(松尾氏)というから、何が何でも飛びにこだわる人は検討する価値がありそうだ。
だが問題もある。「ディスタンス系」はスコアをまとめる際に見逃せないデメリットがあるというのだ。
「『ディスタンス系』はアプローチ時のランが多く、プロが打ってもワンピン以内に止めるのは至難の業です。ミドルでの2オンが難しくなっているシニアにとって、スコアメイクの鍵となる3打目に、寄せが難しい『ディスタンス系』ボールを使うのはスコアを崩すだけ。スコアをまとめたいなら『スピン系』を使うことをオススメします」(松尾氏)
クラブとボールには相性があることにも留意したい。特にパターはフェース素材によって打感や転がりに影響する。ステンレス素材は弾きが強いため止まりやすい「スピン系」と相性がよく、衝撃を緩和する樹脂素材がインサートされたパターは転がりやすい「ディスタンス系」が合う。自分のプレースタイルに合ったボールを見つけることが、スコアアップへの近道だ。
※週刊ポスト2014年9月12日号