日本スケート連盟会長の橋本聖子参議院議員が男子フィギュアスケート髙橋大輔選手に「無理チュー」したと報じられ騒動に発展。「パワハラ、セクハラとは思わなかった」と髙橋選手はかばったが、男性からは「嫌だったとは言えないよな」という声が聞こえてくる。このケースに限らず、女性から男性への逆セクハラは意外に多い。
ノンフィクション作家の衿野未矢さんは、女性からのセクハラが増えている理由をこう分析する。
「もともとセクハラが問題視されるようになったのは社会で弱い立場にある女性を守るためだったので、女性から男性へのセクハラは想定外でした。しかし、女性の社会進出が進んだことで、男性より強い立場で仕事をする女性が増えた。その副作用として“逆セクハラ”が増えているんです」
そもそもセクハラが問題になり始めたのは、1986年に男女雇用機会均等法が施行されて以降で、1989年には「セクハラ」が流行語大賞に選ばれた。
1999年に改正雇用機会均等法が施行され事業主にセクハラ防止のための配慮義務が課せられ、さらに2007年施行の再改正法では男性に対するセクハラ行為も禁止の対象になった。管理職となる女性が増えるなかで、女性から男性に対するセクハラがしだいに認識されてきたといえる。だが、ひと言に「セクハラ」といっても、その質はだいぶ異なるようだ。男性によるセクハラに比べて、女性が行うセクハラはその動機がより複雑だと衿野さんは話す。
「女性のなかには年齢を重ねても女として見られたい、女として見られるべきだというアンチエイジングのプレッシャーがあり、セクハラをすることで、自分が女として認められているかどうかを確かめているケースがあります。あるいは、部下が私のことを認めているか知りたい、という思いから行為に及ぶ人もいる。単に性的な欲求で行っているケースばかりではない、女性によるセクハラは根が深いのです」(衿野さん)
※女性セブン2014年9月18日号