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宿題代行 不得意なものを外注し得意分野を伸ばすとも解釈可能

 今年の夏、大いに話題となった「宿題代行業者」をどう考えるか──多くの専門家を巻き込んだ大議論に発展している。「詐欺的行為」と批判的な意見もあれば、「合理的」との意見もある。

「代行業者」に対してはこのように活発な議論が展開されているが、他のものではどうだろうか。夏休みに百貨店に行けば、自由研究向けに混ぜるだけで完成するような科学実験キットや工作キット、昆虫の標本などが販売され、親たちがこぞって買っている。ネット上では「読書感想文の文例」や「プリントして写すだけの絵の見本」などが集められた宿題支援サイトが多くのアクセスを集めている。
 
 それらを利用する親と代行に依頼する親とで、どれほどの差があるのかを論じなければ、「代行悪玉論」は空疎だ。工作キットのように一手間でも加えれば容認されるなら、代行業者に依頼したものに同じく一手間かければ許されるともいえる。
 
 元杉並区立和田中学校校長で著述家の藤原博氏は代行業者から納品された商品をそのまま提出するのではなく、親子で「編集」し直せば問題ないという。
 
 もう一歩踏み込んで、不得意なものは代行に頼み、得意分野を伸ばす考え方もあるというのは『ずるい考え方』(あさ出版刊)などの著書で知られる創客営業研究所代表の木村尚義氏だ。
 
「ビジネスの現場では代行は当たり前。不得意なことは外注し仕事の効率化を図る、いわばアウトソーシングは常識です。
 
 代行が子供の勉強の機会を完全に奪っているのであれば問題ですが、夏休みにもっとやりたいことが見つかった子供の親が一部の宿題を代行業者に依頼する時、それほど厳しく批判できるのでしょうか」

※週刊ポスト2014年9月19・26日号

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