高齢化が進む日本社会において、認知症やその前段階である『軽度認知障害(MCI)』の予防は、もはや国民としての大きな課題だ。そこで、年を取ってもなお“脳年齢”を若く保つ努力が必要となる。
まずは、当記事の本文の後に掲載した「脳年齢チェックテスト」をやってみてほしい。このテストは、実際に認知症であるかどうかを一時的にチェックする認知症スクリーニングテスト(長谷川式)でも行われているもの。諏訪東京理科大学教授・篠原菊紀さんはこう説明する。
「このようなテストの結果が落ちてくると、約束が重なったとき、途中の約束を忘れてしまったり、探し物をしながら何を探していたのかを忘れたり、会話の途中でいいことを思いついても、違う話が混じると、何を話そうとしたのか忘れてしまったりします。それらは、脳の老化による現象なのです」
人間の脳は、20代でピークを迎え、次第に衰えていく。だから脳機能の維持に役立つことをしている人としていない人では、40代を過ぎたころから差が出てくるのだと篠原さんは警告する。
「知能には、計算したり、情報を処理して何かを生み出すような場合に機能する“流動性知能”と、知恵、知識、経験などによる“結晶性知能”の2種類があります。結晶性知能は歳を取るほどに伸びますが、流動性知能は伸びません。ですが、その衰えを防ぐ一つの方法として有効なのが、脳を使うこと。鏡文字(鏡に映すことで正しく読める反転させた文字)を書くという作業はその一つです。そして、意外なことに、鏡文字が書けないで、はがゆい、もどかしい、イライラするなどとあがいているときこそ、脳活動は活発になっているのです。
脳のトレーニング全体にいえることですが、難しい、面倒くさい、いやだな、と思っても、“いい機会を与えられてありがたい”と思ってやれば脳内物質ドーパミンの分泌が増え、やる気や集中力が高まります。その結果、脳はイキイキしてきますから、ぜひとも楽しみながら行ってください」
■脳年齢チェックテスト
【Q1】海の生物の名前をできるだけたくさん書いてください。(1分で挑戦)
書けた数=1点で換算
個数= 点
【Q2】次の言葉を覚えてください。(10秒以内で挑戦)
もみじ きのこ ぶどう さんぽ
【Q3】100から6を3回引いてください。
できなかった…0点
楽にできた……3点
何とかできた…2点
【Q4】動物の名前をできるだけたくさん書いてください。(1分で挑戦)
書けた数=1点で換算
個数= 点
【Q5】さっき覚えた4つの言葉を書いてみてください。(30秒以内で挑戦)
書けた数=10点で換算
テストが終わったら、すべての点数を足して次の式で計算します。それで出たのが今のあなたの脳年齢です。
120 – 合計点数 = 脳年齢
※女性セブン2014年10月2日号