ビジネス

「デパートの1階にはトイレ作らない」 この定説覆し大盛況に

 ひと昔前は「息を止めて入る」「一刻も早く出たい」場所だったトイレは、今や、音楽を聴いたり、水を飲んだり、マッサージをしたり、まるでリラックスルーム。

 そんなここ数年のトイレ環境の変化についてお笑いコンビ『どきどきキャンプ』のツッコミを担当する一方で、日本トイレ協会会員として毎月トイレを語るイベントも実施している佐藤満春が最新トイレ事情について語る。

 * * *
 1990~2000年頃まで、デパートでは“1階にトイレを作らない”のが定説だった。1階にトイレを置くと公衆トイレ化し、何も買わずにトイレだけ使う人が増えてしまうという懸念から、この頃までに作られたデパートや商業施設には見事に1階にトイレが無い。

 しかし、その後改装された新宿の某デパートはあえて1階にトイレを作り、とにかくきれいにした。特に女性トイレにおけるパウダールームやアメニティグッズを充実させることを徹底したのだ。

 その結果、多くの女性から絶大な支持を得て大繁盛し、デパートや商業施設ではトイレをきれいに、そして女性が買い物中にくつろぐ休憩所にすると成功するというのが、今の定説となった。

 化粧道具やテレビ、ソファー、充電器、フットマッサージャーなどがあって、もはや家のような環境となり、買い物をしなくても“とにかくデパートに足を運ばせる”ことが目的となっているのだ。聞いた話によると、きれいなトイレまでの動線に、あえて売れ筋の商品を置くと、客はその商品を必ず目にすることになる。そうすることで、いつか「あ、そういえば、あそこにあの商品あったな」と思い出すきっかけを作ることにしているそう。

 トイレはもはや排泄をするだけの場所ではなく、人を癒し、リラックスできる空間となりつつある。トイレ好きとしてはこれが一過性のものではなく、そして商業的すぎないものであってほしいと望むばかりである。

 ここまで読んでいただいた皆さん、トイレは一生付き合うものです。あなたのトイレ環境も、一度見直してみるのはいかがでしょう? わかりにくい説明があった場合、水に流していただきたい。それではまたどこかのトイレでお会いしましょう。ジャー。

※女性セブン2014年10月16日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

“令和の小泉劇場”が始まった
小泉進次郎農相、父・純一郎氏の郵政民営化を彷彿とさせる手腕 農水族や農協という抵抗勢力と対立しながら国民にアピール、石破内閣のコメ無策を批判していた野党を蚊帳の外に
週刊ポスト
緻密な計画で爆弾を郵送、
《結婚から5日後の惨劇》元校長が“結婚祝い”に爆弾を郵送し新郎が死亡 仰天の動機は「校長の座を奪われたことへの恨み」 インドで起きた凶悪事件で判決
NEWSポストセブン
6月2日、新たに殺人と殺人未遂容疑がかけられた八田與一容疑者(28)
《別府ひき逃げ》重要指名手配犯・八田與一容疑者の親族が“沈黙の10秒間”の後に語ったこと…死亡した大学生の親は「私たちの戦いは終わりません」とコメント
NEWSポストセブン
「最後のインタビュー」に応じた西内まりや(時事通信)
【独占インタビュー】西内まりや(31)が語った“電撃引退の理由”と“事務所退所の真相”「この仕事をしてきてよかったと、最後に思えました」
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬・宮城野親方
【元横綱・白鵬が退職後に目指す世界戦略】「ドラフト会議がない新弟子スカウト」で築いたパイプを活かす構想か 大の里、伯桜鵬、尊富士も出場経験ある「白鵬杯」の行方は
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
「日本人ポップスターとの子供がいる」との報道もあったイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
イーロン・マスク氏に「日本人ポップスターとの子供がいる」報道も相手が公表しない理由 “口止め料”として「巨額の養育費が支払われている」との情報も
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
《会社の暗部が暴露される…》フジテレビが恐れる処分された編成幹部B氏の“暴走” 「法廷での言葉」にも懸念
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト
 6月3日に亡くなった「ミスタープロ野球」こと長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
【追悼・長嶋茂雄さん】交際40日で婚約の“超スピード婚”も「ミスターらしい」 多くの国民が支持した「日本人が憧れる家族像」としての長嶋家 
女性セブン
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さん出産》“一卵性母子”と呼ばれた小室圭さんの母・佳代さんが「初孫を抱く日」 知人は「ふたりは一定の距離を保って接している」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《レーサム創業者が“薬物付け性パーティー”で逮捕》沈黙を破った奥本美穂容疑者が〈今世終了港区BBA〉〈留置所最高〉自虐ネタでインフルエンサー化
NEWSポストセブン