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三島由紀夫の「最後の晩餐」は鳥鍋 女将は「またいらして」

 歴史の教科書に載っていたあの人が贔屓にした店で、現在でも営業を続けているところがある。のれんをくぐり、一口食せば日本の歴史に名を刻む著名人の生きた時代を感じられるはず。

 そんな名店の一つ、『末げん』。三島由紀夫の「最後の晩餐」は、明治42年に創業した鳥鍋料理の老舗『末げん』だった。三島は連載していた『豊饒の海』の最終回を書き上げた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹し、自決する。

「学生の頃から家族でよくいらしてました。自決前夜の宴は『楯の会』メンバーと5人。私の祖父の時代でした。張り詰めた雰囲気だったと聞いています」(店主・丸哲夫さん)。

 三島の食べた看板メニューの鳥鍋は、豆腐やこんにゃく、しいたけと鶏肉をスープで炊き、しょうゆやポン酢に大根おろしを入れて供される。食事を終えた三島が帰る際、女将が「またいらしてください」と声をかけると「また来いって言われてもなあ…でも、こんなにきれいな女将がいるならあの世からでも来るかな」と答えたという。三島はどんな気持ちで店を後にしたのだろうか。

【末げん】
住所:東京都港区新橋2-15-7
営業時間:11時半~13時半、17~22時
定休日:日・祝(土は不定休)

※女性セブン2014年10月23・30日号

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