10月4日に閉幕した韓国・仁川のアジア大会は、競技の判定のみならず選手村にエアコンが設置されていないなど、大会運営まで酷評された。だが、それに加えて不評だったのが運営スタッフやボランティアのモラルの低さだった。
通訳スタッフは、組織委員会が当初1日7万ウォン(約7000円)で募集したものを急遽5万ウォンに減額したせいか、「日当が安い」と9月下旬には100人近くが“逃亡”してしまった。
地元の『中央日報』は、「大会終盤までアラビア語の通訳が不在のため、9月29日の陸上男子1500メートル決勝後の会見では、英語を話せる金メダリストが、アラビア語しか話せない銀と銅メダリストの通訳をさせられた」と恥ずかしげもなく報じている。
組織委員会は大会前に母国語と英語ができる人を同行させるよう各国オリンピック委員会に要請しているから、すべて開催国のミスとはいえないが、アラブ諸国に有名選手が多い陸上競技でアラビア語通訳を配置できないようではその運営能力を問われても仕方ないだろう。
ビーチバレーやカバディ会場ではボランティアスタッフがカード賭博を行なう事件も起きた。挙げ句の果てに批判は自国チームからも出る有り様で、野球では韓国代表の柳仲逸監督が「練習用ボールを拾って選手にサインを求めるボランティアがいて邪魔だ」とし、組織委員会の指導不足を指摘している。
元時事通信ソウル特派員でジャーナリストの室谷克実氏はこう解説する。
「韓国ではボランティアは単なる資格なんです。入社試験の履歴書に『ボランティア証明書』を添えると就職に有利になるからやるという程度だから、バイト代が安ければさっさと職場放棄してしまう。日本人が考える『奉仕の精神』などはそもそも持っていない」
※週刊ポスト2014年10月24日号