親の思い出の品、墓や仏壇、不用になった本や洋服、そして誰も住まなくなった家、それらをどう処分するか…「親の家の片付け」が子供たちを悩ませている。まだまだ先のことと思っていても、気づいた時には片付ける気力も体力も衰えているかもしれない。 主婦のA子さん(47才)が言う。
「うちは娘がふたり。いずれは嫁に行ってしまいます。墓参りや掃除など、負担になるのではないか。家にある仏壇はどうすればいいのかと今から気になっています」
そうA子さんが悩むように、墓は維持費がかかることはもちろん、実家から離れて暮らす娘や息子にとって墓参りや手入れなど管理する手間も重くのしかかる。
葬儀・お墓コンサルタントの吉川美津子さんは「今からしっかり子供と話し合っておくことが重要」だとアドバイスする。
「墓の名義を引き継ぐ際に、高くて1万~2万円くらいの名義変更手数料が必要になります。そして毎年必要になるのが墓地の共有部分を管理するための費用、管理費です。墓地の種類にもよりますが数千~3万円ほどかかります。それらの負担が重いのでお墓を処分したいと思っても、ただ石を撤去するというわけにいきません。
中に入っている遺骨を取り出して行先をどうするか決めなければならない。自分たちの先祖だけではなく、一緒に親戚のお骨が入っていることがあるので、その場合は親戚の遺族の意見も聞かなければトラブルになりかねません。
合葬墓(共同埋蔵墓地)に入れてもらう、散骨するなどの方法があるので、お寺に相談するとよいでしょう。遠くに住んでいると親戚と話し合うのも大変です。残された子供たちは親戚との縁がなくなってしまっていることが少なくないため、縁がつながっている親世代がやっておくことをおすすめします」
また、お墓と並んで処分に困るのが、引き取り手がいなくなってしまった仏壇だ。
「仏壇は粗大ゴミとして処分できます。ゴミとして処理するのに抵抗があるかたは、仏壇店や菩提寺に処分をお願いすることもできる。宗派によっては『魂抜き』の儀式が必要なことがあるので、相談しましょう。法要の金額はお寺によって幅がありますが、高くても10万円くらいと考えてください」(吉川さん)
※女性セブン2014年10月23・30日号