日本語が乱れていると言われる昨今。正しい敬語を使えないという人も少なくないという。NHK放送研修センター・日本語センター 特別専門委員・後藤繁榮(ごとう・しげよし)さんはこう話す。
「流行語や省略語は言葉でその時代の気分を共感し合える意味もありますが、新しい言葉はその意味をすべての人が理解しているとは限りません。世代によっては全く通じない言葉もあります。疎外感を与えることもあるので注意が必要です」
そして、後藤さんは正しい敬語を使う重要性について、こう説明する。
「以前は、敬語を使う考え方が『目上』『目下』でしたが、現代敬語は『相互尊重』が基本とされています。社会生活を送る中で、年齢や経験・知識・能力の違い、立場や役割の違い、階層の違いを意識し、互いに認め合い尊重し合おうという考え方です。今すぐにパーフェクトな敬語を使えない、自信がないという人も、相手を尊重して話す姿勢を心がけることから始めましょう」
ここで、よく使われる10の尊敬語・謙譲語を紹介しよう。
「学校へ行く」
尊敬語→先生が学校へいらっしゃいます
謙譲語→私が学校に参ります(伺います)
「学校へ来る」
尊敬語→先生が学校へお越しになりました(お見えになりました)
謙譲語→私が学校に参ります(伺います)
「仕事をする」
尊敬語→先生が仕事をなさいます(なさっています)
謙譲語→私は仕事をいたします
「家にいる」
尊敬語→先生が家にいらっしゃいます
謙譲語→私が家におります
「料理を食べる」
尊敬語→先生が料理を召し上がります
謙譲語→私が料理をいただきます
「絵画を見る」
尊敬語→先生が絵画をご覧になります
謙譲語→私が絵画を拝見します
「絵画を見せる」
尊敬語→先生が絵画をお見せになります
謙譲語→私が絵画をお見せします(お目にかけます)
「話を聞く」
尊敬語→先生が話をお聞きになります
謙譲語→私が話を伺います(うけたまわります)
「その話は知っている」
尊敬語→先生はその話をご存じです
謙譲語→私はその話を存じています
「荷物を持っていく」
尊敬語→先生が荷物をお持ちになります
謙譲語→私が荷物を持参します
※女性セブン2014年11月13日号