日本消費者協会の調べによると、葬儀代は全国平均で199.9万円。これだけ高額な支払をする相手を、夫の死後24時間でエイッと決めてしまうのは、実は賭けのようなものである。
葬儀をどの業者にまかせるかは、夫の生前に話し合っておき、故人の遺志をしっかり反映するための準備をしておきたい。
「葬儀の生前準備をするときは、夫に『どちらが先に死ぬかわからないから、お互いに備えておかない?』と言うと、切り出しやすいはず」(柴田さん)
葬儀社を選ぶ際は、まず、葬儀に呼ぶ人(呼びたくない人も)をリストアップすると、規模の予測がつき、連絡先も確認できる。さらに、遺影はどれにするか、棺に入れてほしいものはないかなどを聞き、おおよそのイメージができたら、地元の葬儀業者を中心に最低3社にたずねてみよう。無料で生前見積もりをとることができる。
「祭壇や棺のランクはすべて“真ん中で”とお願いしましょう。この際、会葬者の人数などはすべて同じ条件で依頼することが重要です」(柴田さん)
葬儀社の心ない対応に傷つき、不満が残ったという声もよく聞く。事務所や会場を訪れて、葬儀社の対応や姿勢もチェックできるのが、生前準備のメリットだ。
「事務所が汚いと、遺体安置所も掃除されていない可能性が。また、担当者の人柄はよくても、当日その人が担当してくれるとは限りません。ほかのスタッフの対応もみておきましょう」(柴田さん)
見積もりがコロコロ変わる業者や、高価格のオプションを押し売りしてくる業者ももちろんNG。
最近は、一般の会葬者を呼ばず、遺族やごく親しい人だけで葬儀を行う“家族葬”を選ぶ人も増えている。例えば、スーパー大手のイオンが展開する50名程度の家族葬向けプランなら、病院への迎えから納棺、通夜、告別式、火葬、初七日までで50万円弱(料理・返礼品代は別)とかなり割安。
また、よりコンパクトにと、通夜や告別式も行わない、火葬だけの“直葬”もある。これは火葬前に、近親者のみでお別れをするというもので、20万円ほどの予算。だが、こうしたシンプル葬では、注意も必要と柴田さんは言う。
「葬儀に呼ばれなかった人が悲しみ、後々まで自宅に弔問に訪れることも。家族葬でも告知はし、そのうえで会葬、香典は辞退する旨を伝えることが大切です」(柴田さん)
※女性セブン2014年11月27日号