日本における乳がん発症者は年間約万人。40~50代では罹患率1位(国立がん研究センターがん対策情報センター調べ)。女性にとっては生涯気になる病気だ。
今、乳がんにおける最先端のチーム医療として注目されている病院が、2010年に開設された『昭和大学病院ブレストセンター』。女性限定の女性病棟も好評だ。昭和大学医学部乳腺外科准教授の明石定子さんは言う。
「自覚症状(胸のしこりや乳頭の出血など)や検診異常で外来受診されると、乳腺外科で画像検査(マンモグラフィ、超音波、視触診)を経て、疑わしい場合は細い針で組織を取って精密検査を行います。
乳がんと診断されれば、進行度やタイプなどを見極めて治療方針を決定します。乳腺外科が窓口となり、主治医となって治療に携わりますが、たとえば患者さんが乳房再建を望むなら、形成外科医の話も聞いてもらう。再建となれば、がんは乳腺外科で切除し、形成外科へバトンタッチ、その後の治療はふたたび乳腺外科で行います」
また、昭和大学医学部形成外科助教授の草野太郎さんも説明する。
「形成外科は体表のほぼすべてを扱う外科です。なかでも乳房再建は大きな柱となる分野。再建とは人工物や自身の体の組織を用い、できる限り“元の形に近づける”ことであり、患者さんのニーズに合わせた最適なプランを検討し提案しています」
形成外科医だけではなく、がん判定の病理科医、患者の痛みやつらさに対応する緩和ケアのプロ、乳がん認定看護師…など、複数の専門家が1人の患者を支えている。
「ブレストセンターでは、乳腺外科医を中心に関連のある専門医が揃って1人の患者さんの治療方針を検討します。“手術でどこまでとるか”という議題なら、画像診断医の意見を聞いた上で意見交換し最善の治療を導き出す。情報の共有もでき、治療の効率化にもつながります」(前出・明石さん)
ちなみに、形成外科と整形外科は言葉は似ているが、取り扱う分野は大きく異なる。
「形成外科は口唇口蓋裂などの先天異常や熱傷に至るまで、体表にかかわるすべてが治療対象。美容整形は形成外科医が取り扱う分野です。一方、整形外科はけがや病気で損なわれた骨、関節、筋肉などの治療や運動能力のリハビリが専門となります」(前出・草野さん)
※女性セブン2014年12月11日号