国内

選挙で白票投じる意思表示 数えられないので全く意味がない

  14日に投票日を迎える衆議院選挙、もう投票する候補者はお決まりだろうか。争点が見えない、そもそも選挙する理由がよくわからない。投票したくてもしたい相手がいない……。そう嘆くあなたに、コラムニストのオバタカズユキ氏が語りかける。

 * * *
 あと1週間も経てば総選挙である。だからと言って別に「日本の将来がぁ!」と鼻息を荒げるつもりはないが、12月14日に行われる第47回衆議院議員総選挙はけっこう注目だ。

 なぜって、みんな忙しい師走だし、これという争点が見えやすいわけではない選挙だから、きっと投票率が低くなる。これまでの衆議院選の最低投票率は、野田佳彦前総理が解散を断行して2012年12月16日に行ったときの59.32%。あのときはそれでもまだ、民主党政権に対する失望と、「日本を、取り戻す。」のキャッチコピーで復活してきた安倍自民党への期待感あるいは危機感が、人に何らかの投票行動を促す要因となりえた。が、こんどの選挙は投票所に行く理由を見つけづらい。投票率がどこまで落ちるか、落ちまくったら世間がどう反応するか、むしろそれを見てみたい。

 安倍政権の暴走を食い止めたい、と思う人は一定数いる。けれども、そういう人が、じゃあ、どこに入れれば食い止まるのかと考えたとき、ここだよという投票先はどこなのか。小選挙区はとにかく最有力の対立候補に入れるというやり方があるが、政党名を書く比例区のほうは難しい。

 私自身、このままの安倍政権が調子こいているのは嫌だと思っている。だが、今の安倍政権は前政権党のダメダメっぷりが生み出したと考えるから、その後も前向きな変化が見えない民主党に入れる気にはならない。維新、次世代、共産、生活、社民と他にも野党があるけれど、どこに入れても一票をドブに捨てるのと変わんない感が拭えないし、私が一番の社会問題だと思っている「このままだとぶっ壊れる社会保障制度をどうするの?」という問いにガチで答えていると思える党がまるでない。投票に行く気が起きない。

 政治不信で浮動票が選挙から離れるという言い方があるけれど、このやる気の出ない感じはそれとも違う。信じる、信じないの問題ではなく、単純に、どこの党もいいねと思えないのだ。そんなふうに足踏みをしている有権者は、今回、すごく多いはずで、その空気を察知したのだろう。この選挙にあたって、白紙投票を呼びかける謎のサイトが出現したのは象徴的な出来事だ。

 当該サイトについてまだご存知ない方は、「日本未来ネットワーク」という運営者らしき名称を検索してみてください。すると、〈黙っていないでNO!と言おう。〉って、でっかい文字と、ブーイングの顔とジェスチャーをしたお姉さんの写真が出てくるはずだから、一通りを読んでみてください。

 このサイト、SNS界では呆れて話にならないとバカにするスタンスがデファクトになっているが、その一方で、けっこう心に響いている人も少なくないと私は思っている。たとえば、こんな文言がある。

〈どんな職種もそうですが、競り合うことによって自然と熱心になり、切磋琢磨されて行きます。しかし現状の政治家を見ていますと、自民党、公明党の連立与党の議員が圧倒的に有利で一人勝ちの状況です。ただし、投票率の低さからも、彼等が支持されて当選しているというよりも、支持したい人が他にいないからという場合も多いと思われます。〉

 そう、そういうことだ。投票に行く気が起きない人間の心情をわかりやすく代弁してくれている。

〈また与党に反対する野党に至っては、そもそも信頼できる政党たりえるのかが不安な状況で、投票するのがはばかられるような現状です。入れたい人がいないから、誰に入れていいかわからないから投票に行く気になれない。このことを気持ちとして表すと、候補者達にブーイングをするということになります。誰に入れていいかわからないのは、政治家が政治への関心を持ってもらおうとする努力を怠っているということの表れでもあります。〉

 投票先が決められないのは有権者としての自分の努力不足……と実は後ろめたく感じている人もけっこういるに違いなく、そういう真面目な方には、〈誰に入れていいかわからないのは、政治家が政治への関心を持ってもらおうとする努力を怠っているということ〉という一節が救いになるだろう。

 で、この謎のサイトは、こう提言する。

〈投票所に行って、何も書かない「白票」を投じるのは投票したい立候補者がいないという意思表示です。その1票にも、今の社会を変える力があります。〉

トピックス

初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン