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自民党体質 かつてと違い民意反映の政策バランス機能働かず

 大メディアは与野党のねじれで法案が通らない政治状況を「決められない政治」と批判し、自民党の大勝によって安倍晋三首相の権力が強化されて政治主導で改革が進む「決められる政治」が始まると歓迎している。だが、これから始まるのは巨大与党がそのままサイレント・マジョリティになる「沈黙の政治」である。

 今の自民党の体質はかつての長期政権時代とは大きく異なる。

 長期政権時代の自民党にはタカ派勢力とリベラル勢力、増税派と反増税派など幅広い考え方があり、一方の政策が国民の信を失えば、党内政権交代で政策を修正して民意を反映させる「振り子の原理」と呼ばれる政策バランス機能が働いた。

「族議員」も悪い意味だけで使われた言葉ではない。官僚以上に政策に詳しく、政務調査会の各部会で業界間の利害を調整すると同時に、官僚の作る政策をチェックして修正する役割を担っていた。政府提出法案は事前の与党審査で了承を得なければ閣議決定できないルールだ。つまりは与党議員同士、そして党と政府の間でもチェックと綱引きがあり、それが政策の安全弁だったのである。

 ところが、安倍氏が総選挙での公認をめぐる恐怖政治で党内を黙らせたことで、政治の景色は変わった。官僚は官邸さえ籠絡すれば思い通りの政権運営ができる。安倍官邸にそれをはねのけて政治主導を発揮する力があるかが問われるが、もちろんそんな力はない。

※週刊ポスト2014年12月26日号

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