小型手榴弾ほどの破壊力がある「殺人エアバッグ」──米メディアが日本の自動車部品大手「タカタ」製の欠陥エアバッグをそう断罪する背景には、強い苛立ちがある。
米上院議会で11月20日に開かれた公聴会では、エアバッグから飛び出した金属片が目に入って失明した若い女性が証言台に立ち、涙を誘った。その公聴会にタカタを代表して出席したのは、取締役でもない清水博・品質保証本部シニアバイスプレジデント。4年前、トヨタのアクセル欠陥問題が起きた際、公聴会に豊田章男・社長自らが出席して、真摯に説明・謝罪したのとは大きな違いである。
なぜ経営トップである創業家の3代目、高田重久・会長兼CEOが公聴会に出てこないのか。危機感が足りないのではないか──そうした批判が米議会関係者やメディアで相次いだのだ。
しかし、12月3日の公聴会にも重久会長は姿を見せなかった。この問題に関しては「誠に遺憾に思っている」という声明を公表しただけだ。タカタ関係者がいう。
「社内で実権を握っているのは重久会長の母親で、先代社長・重一郎氏の未亡人である高田暁子・特別顧問。社内では“大奥様”と呼ばれ、彼女の意向が絶対だ。重久会長はすでに48歳だが典型的な世襲経営者で、社内で“シゲちゃん”“若”と呼ばれるほど軽い」
※週刊ポスト2014年12月26日号