ビジネス

重詰おせちの市場規模576億円 来年は605億円に拡大見込む

 9月下旬、大阪市内のとあるイベントスペースで、100社を超える業務用食品製造業者がブースを出す見本市が開かれていた。スイーツや健康食材など様々なテーマの出展があり、百貨店やスーパー、ホテル、飲食店など約1000社の仕入れ担当者が招待されていた。

 本誌記者が潜入したその見本市で一際賑わっていたのが、「おせち料理食材」を扱う業務用食品製造会社のブースだった。

 白いクロスがかけられたテーブルの上には、真空パック詰めにされた定番の縁起物メニューが展示されている。

「にしんの昆布巻き」「栗きんとん」「伊達巻」「数の子」「紅白かまぼこ」「紅白なます」「田作り」「芽出しくわい」などがずらりと揃い、手前にはそれらが詰め合わせされた見本と試食用に開封されたパックが並ぶ。来場者が次々と試食しては、

「発注の数はいつまでに確定すればいいの?」
「4段重ねのセットだといくらになるのか?」

 と矢継ぎ早に質問を繰り出し、打ち合わせのために訪れる人が絶えることはなかった──。

 既製の加工食品が進化して、日本の正月に欠かせないおせちは「家で作る」ものから「店で買う」ものに変わったといっていい。

 その流れは今も年々加速しており、おせち販売には百貨店、ホテル、料亭からスーパー、ファミレスまでが参入し、年末商戦の目玉の一つとなっている。

 市場調査会社「富士経済」の調べによれば、2014年の「重詰おせち」の市場規模は前年比5.3%増の576億円となった。来年はさらに605億円に拡大する見込みだという。

「世帯人数の減少に対応した小型商品の登場や、若者のおせち離れに歯止めをかける洋風メニューの展開が近年の特徴です。ネット販売やコンビニでの予約販売の拡充も市場を成長させる要因となっています」(富士経済広報部)

 ある百貨店の食品部門バイヤーは「一番の売れ筋は3万円台」と語るが、そんな「豪華おせち」にも、実は冒頭の見本市で売り出されていたような真空パック詰めの冷凍食材がふんだんに使われているのだ。

※週刊ポスト2014年12月26日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン