「トムが10歳を過ぎた秋頃から急に元気がなくなって、検査した結果、がんが見つかったんです。かなり進んだ状態で、その説明を受けた時の先生の対応が、自分としては納得できなくて、意地になってしまったのかも……と後悔することもあるんです」(実和さん)

 ペットの医療保険に加入しているかを聞かれた実和さんが、「入っていない」と答えた直後に“安楽死”を勧められたのが、その要因だと実和さんは語る。

「体力が落ちていて手術も難しいし、仮に手術しても余命が延びる可能性が低い。医療費も高いし、治療や手術のために日中何度も通院する必要があるから、仕事にも影響が出るだろう……って。でも私にとっては“家族”の命の問題ですから、お金や時間のことは、私が考えるべき部分じゃないですか? それなのにアッサリ『安楽死』と言われた感じがして、すぐに“別の病院を探そう”と決めました」(実和さん)

 その後、でき得る限りの治療をしてくれる病院が見つかり、手術もできた。職場の理解もあったため、なんとか仕事も調整して自宅での時間を確保し、看病や通院の時間にあてた。しかし、やせ細り、何度も痙攣するトムくんの姿を見るのは、辛かったという。それでも弱気になりそうになるたび、「保険に入っていない」と言った直後に、安楽死を勧められた憤りがよみがえった。

「手術や入院・治療費などのほか、深夜救急で対応してくれる動物病院の治療費やそのためのタクシー代なども含めると、正直言ってかなり厳しいほどお金がかかりましたが、治療費を惜しむ気持ちはなかったです。でも振り返ってみると、トム自身にとっては苦しいだけの時間が、長引いただけなのかもしれない……。私が“お金のことなんかで”と思いすぎたエゴに、巻き込んでしまったんじゃないか? と。もしもペット保険に加入していて、お金の心配をする要素が少なかったら、もっと冷静に、トムの気持ちを考えた判断ができたのかもしれません」(実和さん)

 もしもの時を考えて、金銭的な心配を軽減するペット保険へ加入しておくことや、日頃からケアについて相談できる獣医師やサポートサービスを調べておくなどは、家族であるペットと最後まで悔いなく、幸せな時をすごせるようにするために、必要な要素のひとつといえそうだ。

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