芸能

ぼっち視聴者をいかに掴むかが現代ドラマ成功の鍵と女性作家

 今年もきっとドラマが注目を集める年になるだろう。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が、近年のドラマを支える視聴者層について分析した。

 * * *
 先週のクリスマス、一人で過ごす人のことを「クリぼっち」と世間は呼びました。今日1月1日は「正月ぼっち」「おせちぼっち」、結構いるのかもしれません。

「ぼっち」とは、ご存じ、ひとりぼっちの略です。あるいは、家族と同じ家に暮らしていても、あるいはパートナーがいても、「ぼっち」を感じてしまう。以前にも増して、「ぼっち」の存在感が増している時代。私はずっと感じてきたのです。だからこそ、ドラマは注目されるのだ、と。ドラマは「ぼっち」に寄り添うコンテンツではないだろうか、と。

 明日はどうなるかわからない。巨大地震が来るのか、日常が続くのか。何の保証もない。そんな不安な時代を一人で生きる、ぼっち。

「うんうんそうだねー」「わかるわかる」「えっ、そんな時私ならどうするんだろう?」

 相づちを打ち、ささやかな共感を抱く。大切なことを見せてもらい、勇気をもらう。ドラマとは、ぼっちにとってそんな大切な相手ではないでしょうか。

 象徴的な光景があります。「朝ドラ受け」。NHKの朝ドラが終わった直後、「あさイチ」のオープニングで有働アナとイノッチが感想を述べ合うあのシーン。
最近ではすっかり定番化していますが、その当初、ズケズケ感想を言うあたりちょっとうるさいな、と私が文句を口にすると、ぼっちの友人は言いました。

「でも、ドラマを一人で見ていたら、誰かとうなずきあったり感じたことを言いあいたいじゃない?」

 なるほど、「朝ドラ受け」は、「ぼっち受け」でもあるのですね。

 ドラマは「ぼっち」に寄り添うコンテンツ。そんな視点から、振り返ってみると。

 女性から圧倒的な支持を集めた「きょうは会社休みます。」(日本テレビ系)。主人公の内面を描き出すナレーションが印象的な、対話型自分探求ドラマでした。ぶきっちょな、こじらせ女子。

 その恋愛ベタな姿を見つつ、ぼっち視聴者はつぶやいた。「私ならどうする」「そうそう、そうなんだよ」「こんな時には素直にしなくちゃ」。共感したり反省したり。対話しつつドラマを観たというぼっち視聴者、多かったのでは。

 あるいは、視聴率のトップになった米倉涼子主演「ドクターX~外科医・大門未知子~」は決して失敗しない、フリーの女医が主人公。ありえない舞台設定だけれど、視聴者の職場でのストレスを一手に吸いとり、アホな上司や硬直した組織への心の叫びを代弁してくれた。

 自分のかわりに男社会へ仕返ししてくれている、爽快感。やはり、働く女性ぼっちたちの共感が人気のベースにあったのでは。

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