井沢:それでも私は、歴史学者が勇気をもって声を上げるべきだと思います。歴史学者がやるべきことを文学者である柳さんがやっているのがおかしい。
柳:私が本に書いたようなことは、実は30年間言い続けていて、若い研究者らにも呼びかけてきたんですが、何も変わらなかった。アカデミズムの世界にも反日が巣食っている。
井沢:ジャーナリズムというのは現在の事実を、歴史学というのは過去の事実を明らかにすることです。その二つが反日というイデオロギーで歪められているのは、韓国にとって決して良いことではない。
柳:私の本に対しても歴史学者からの反応はほとんどなくて、ジャーナリストについても一部の人は反応していますが、ネットのマイナーメディアの人たちばかりです。
産経新聞の加藤支局長の起訴についても、ネット上の書き込みでは、ほとんどが政府を批判していますが、メジャーなマスコミは口をつぐんでいます。先生は韓国が反日を克服するアイデアをお持ちですか。
井沢:やはりネットやコミックなどわかりやすい表現手段を使うことでしょう。たとえば、韓国の「独立門」は日本から独立したときに建てられたと多くの人が信じているけど、実は日清戦争で日本が勝ったことで中国から独立したときに建てられたものなんだよと、基本的な歴史的事実を平易に伝えていくところから始めてはいかがでしょうか。
柳:参考にさせていただきます。この本の出版は作家として最後の戦争だと思っていますので、見守っていてください。
※週刊ポスト2015年1月16・23日号