ビジネス

大前研一氏「アベノミクスというのは日本を辱める経済政策」

 アベノミクスによって円安が進行し、2014年11月から12月の1か月で円は1ドル5円以上も下がった。これにより後々どんな影響が生じるのだろうか。大前研一氏が解説する。

 * * *
 アベノミクスで円安が進んでいる。日銀によると、日本の貿易相手国通貨に対する円の総合的な価値を示す実質実効為替相場は、1973年1月以来、42年ぶりの弱さになっている。財界などには、企業の輸出が回復し、業績改善や雇用拡大につながるとして円安を歓迎する声が多い。

 しかし、自国通貨が弱くなって喜んでいる国は日本ぐらいだ。輸出企業も大半はすでに広く海外展開しているので、ほとんど為替変動の影響を受けなくなっている。だから1ドル=80円台の超円高になっても生き残ったのである。

 普通の国は、これほど自国通貨の価値が下がったら危機感を抱く。なにしろドルベースで換算すると、円は安倍政権が誕生した2年前の1ドル=86円から約30%も弱くなっているのだ。

 これはすなわち、経済力をドルベースで計っている世界の国々から見れば、日本のGDP(=国力)と平均給与(=購買力)が急に30%も減ったということである。このため、GDPはつい最近、中国に抜かれて3位になったばかりだと思っていたのに、今や2倍の差がついている。円の価値が30%下がったから、そうなったのである。

 つまり、アベノミクスというのは“日本を辱める経済政策”なのだ。だから私はアベノミクスではなく「アベノミックスドアップ(mixed-up=頭の混乱した)」と呼んでいるが、日本が原油・天然ガス、金属、穀物などエネルギーや原材料の大半を輸入している以上、2015年は円安のマイナス効果がどさっと出てくるので、日本経済はさらに悪化するだろう。実際、すでに食料品などが値上がりして家計を圧迫し、企業の「円安関連倒産」も急増している。

 日銀の「黒田バズーカ2」による追加金融緩和でさらにカネが市場に供給されても、もはや日本は金利に反応しない「低欲望社会」になっている。個人は1600兆円の金融資産、企業は320兆円の内部留保を持ちながら、それを全く使おうとしない。だから消費も設備投資もいっこうに増えず、銀行は融資先・投資先がなくて困っている。

※SAPIO2015年2月号

トピックス

日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
実業家の宮崎麗香
《セレブな5児の母・宮崎麗果が1.5億円脱税》「結婚記念日にフェラーリ納車」のインスタ投稿がこっそり削除…「ありのままを発信する責任がある」語っていた“SNSとの向き合い方”
NEWSポストセブン
出席予定だったイベントを次々とキャンセルしている米倉涼子(時事通信フォト)
《米倉涼子が“ガサ入れ”後の沈黙を破る》更新したファンクラブのインスタに“復帰”見込まれる「メッセージ」と「画像」
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン
峰竜太(73)(時事通信フォト)
《3か月で長寿番組レギュラー2本が終了》「寂しい」峰竜太、5億円豪邸支えた“恐妻の局回り”「オンエア確認、スタッフの胃袋つかむ差し入れ…」と関係者明かす
NEWSポストセブン
2025年11月には初めての外国公式訪問でラオスに足を運ばれた(JMPA)
《2026年大予測》国内外から高まる「愛子天皇待望論」、女系天皇反対派の急先鋒だった高市首相も実現に向けて「含み」
女性セブン
夫によるサイバーストーキング行為に支配されていた生活を送っていたミカ・ミラーさん(遺族による追悼サイトより)
〈30歳の妻の何も着ていない写真をバラ撒き…〉46歳牧師が「妻へのストーキング行為」で立件 逃げ場のない監視生活の絶望、夫は起訴され裁判へ【米サウスカロライナ】
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト